だが、新型コロナウイルスにより全世界でスポーツ興行が中止や延期されているため、やはり大きな会員減に悩まされているようだ。自宅待機を求められている人々の入会で、会員数が劇的に増加しているというネットフリックスのような大手とは、同じ動画配信サービスでも天国と地獄という差だ。

 しかも、このDAZNは投資に次ぐ投資という拡大路線で大きな債務を抱えており、日本以外では放映料の支払いが遅延しているとも聞く。もちろん、将来を有望視される注目の新興企業はいくら負債を重ねても投資家には支持される。スタジアムに行けないサポーターたちはDAZNと契約せざるを得ないだろうから、またここから盛り返していくことになるだろう。

 話をサッカー観戦に戻そう。観戦スタイルの一つであるパブリックビューイングについては、Jリーグから禁止とされた。もちろん、これは正式なライセンスを有するクラブチームなどを念頭に置いた、ある程度規模が大きなパブリックビューイングのことであろう。しかし、これに頭を抱えているのは全国のスポーツバー経営者である。

 「ただでさえ飲食店は新型コロナウイルスの自粛が続いていた期間、営業していただけで怒られました。そうです、『自粛警察』ってやつです。隠れて看板の電気を消して営業していたところもあるくらいです。今回は、お客さんが集まる絶好の機会なんですが…」。既に10年以上の営業を続けているスポーツバーの店主は浮かない顔だ。

 要はお客さんが来てくれても、それだけ密集してしまえば、また何を言われるか分からないということらしい。まだまだ苦難の道は続きそうだ。

 Jリーグの各クラブはどうなのだろう。4月から試合が開催できなくなり、さらには無観客試合になると相当に厳しい状況が予想される。しかし、クラブ事情に詳しい記者に聞いてみると、意外な答えが返ってきた。

 「延期された試合は、たとえ過密日程になっても今シーズン中には消化されるので、入場料収入は落ち込むとしても危機的になるまでのものでもないようです。スポンサー収入も新型コロナがあったからといって減収になるものではないですから」。どうやら今のところは心配なさそうだ。

 5月にJリーグから開示されたクラブチームの決算情報を見ると、3月決算の2チームを除くJ1クラブの平均年間総収入は約51億円だ。そのうちスポンサー収入は約23億円で約半分を占める。ここは年間契約なので、新型コロナによる中止や無観客試合でも動かない数字だろう。日銭としてキャッシュフローに大いに関連する入場料収入は9・8億円となっており、収入のうち全体の2割にも満たない。
東京都内のJリーグ事務局内で、試合を見つめる村井満チェアマン=2020年6月27日
東京都内のJリーグ事務局内で、試合を見つめる村井満チェアマン=2020年6月27日
 とはいえ、今後予定されていた全試合が開催されたとしても、無観客試合や入場者数の制限で入場料収入がある程度減ることは間違いないだろうし、その他のグッズ販売なども含めた収入も観客数に応じて減る。

 また、社会全体がこれだけの経済的な打撃を受けている中で、来期以降のスポンサー収入となると先行きは不透明だ。さらに言えば、上記の話を聞いた記者は財政的には恵まれているクラブの担当だ。弱い財務基盤の下、綱渡り状態で経営をしてきたクラブチームはキャッシュフローの悪化により、最悪破産というケースも出てくるだろう。