2020年07月04日 21:02 公開

ドナルド・トランプ米大統領は3日、独立記念日の式典で、人種差別に抗議して各地で彫像を倒したりする運動を非難した。

サウスダコタ州のマウントラシュモア国立記念碑のふもとで4日の独立記念日を祝う式典を開いたトランプ氏は、南北戦争で奴隷制維持のために戦った南部連合の指導者の彫像を各地でひき下している運動について、「キャンセル・カルチャー」だと非難した。「キャンセル・カルチャー」とは、物事や人を何かと非難し否定して糾弾してまわる風習を意味する。

トランプ氏は、南部連合を称揚する彫像や記念碑などを標的にする抗議運動を、「怒りに満ちた暴徒」と呼んだ。

トランプ氏はさらに、人種平等を求める各地の抗議行動を、「この国の歴史を消し去り、英雄たちを侮辱し、我々の価値観をかき消し、子供たちを洗脳しようとする、情け容赦のない運動だ」と非難し、「我々は決して沈黙させられたりしない」と強調した。

トランプ氏はこれまで、新型コロナウイルス対策を国内外で非難されているものの、この日の演説では新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)についてほとんど言及しなかった。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると(日本時間4日夜現在)、アメリカの感染者数は世界最多で累計279万人を超え、死者数も世界最多で13万人近くに達している。

医療関係者が感染対策を強く促していたものの、3日夜の式典では、マスクの着用も、社会的距離の維持も、義務づけられていなかった。

記念式典の開催場所も、議論の対象となった。ラシュモア山にはジョージ・ワシントン、トマス・ジェファーソン、エイブラハム・リンカーン、セオドア・ルーズヴェルトの4人の大統領の顔が刻まれている。そのうちワシントンとジェファーソンは、多数の奴隷を所有していた。さらに、現地の土地は1800年代に当時の米政府が先住民ラコタ・スー族から奪ったもの。

「先祖を永遠にたたえる」

ラシュモア山そのものに向かってトランプ大統領は、4人の大統領の顔が刻まれた記念碑は「この国の先祖とこの国の自由を永遠にたたえるものとして、永久にここに立ち続ける」と述べた。

「この記念碑は決して冒涜(ぼうとく)されない。この英雄たちは決して汚されない」と述べると、聴衆は歓声で応えた。

大統領はさらに「国民的な伝統の象徴」を標的にする者は「最大限の厳罰に処す」と述べた。記念碑や彫像の破壊を処罰する内容の自分の大統領令に言及し、彫像の損壊は最長10年の禁錮刑で処罰すると強調した。

入場券で会場入りした聴衆約7500人に対して式典では、独立記念日の前夜祭として花火も次々と打ち上げられた。

現地では10年以上前に、森林火災の出火原因となる恐れから、花火が禁止されていた。

先住民は批判

アメリカ先住民の団体は、自分たちの神聖な土地でアメリカの独立記念を祝うことに強く反発している。また集会が、感染リスクにつながると批判している。

多くのアメリカ先住民は独立記念日を祝わない。自分たちの故郷が占領され、自分たちの自由や文化が失われたことに関する日だと認識している。

ラシュモア山の大統領たちの彫像は1927年から1941年にかけて刻まれた。しかし、その土地はかつて、ラコタ・スー族のものだった。

「自分たちにとって特に神聖な土地を写真撮影イベントに使うため、大統領は我々の仲間を危険にさらしている」と、シャシアン川ス-族のハロルド・フレイジャー会長は批判した。

トランプ氏の行事に先立ち、多くの先住民を中心にした抗議者たちが、記念碑に至る道路を車両で封鎖し、警察とにらみあった。

地元報道によると、警官や州兵は抗議者たちに発炎筒やこしょうスプレーを使い、強制排除した。抗議者たちの車両は撤去され、複数の人が逮捕されたという。

(英語記事 Mount Rushmore: Trump denounces 'cancel culture' at 4 July event