2020年07月06日 12:03 公開

米食品医薬品局(FDA)のスティーブン・ハーン長官は5日、新型コロナウイルスのワクチン実用化の時期は予測できないと述べ、「年末よりずっと前に」獲得できるとするドナルド・トランプ米大統領の主張に疑問を投げかけた。

ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策タスクフォースの一員のハーン長官は5日、米ABCニュースのインタビューで、ワクチン開発は「データと科学に基づいて」行われるものであり、「私にはワクチンがいつ利用できるようになるのか予測することはできない」と述べた。

トランプ大統領が「年末よりずっと前に」パンデミック(世界的流行)を「ワクチンで解決」できると示唆したことを受け、インタビューではハーン氏にワクチンができる時期について質問が及んだ。

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トランプ氏はホワイトハウスでの7月4日の独立記念日の演説で、「救命治療を速やかに開発して提供し、ゆくゆくはワクチンを提供するために歴史的努力の最前線で活動する、アメリカ中の、そして世界中の科学者や研究者に我々の感謝を伝えたい」と述べた。

「この国の科学は素晴らしい能力を見せている。おそらく年末よりずっと前に治療法に加えて、またはそれに代わって、ワクチンという解決策を獲得する可能性が高い」

ワクチンは、ウイルスを認識して闘う免疫システムを訓練するため、接種した人は病気にかからなくなる仕組みだ。

アメリカでは新型ウイルスによって累計13万人近い死者が出ている。ワクチンや治療法をめぐるトランプ氏の発言はこれまで批判を受けてきた。

ここ数日では、西部と南部の州で感染が記録的な勢いで増加している。アメリカ全体では280万人以上が感染している。

ハーン長官の主張

ハーン長官は米ABCニュースのインタビューで、「ワクチン開発が前例のない速さで進められている」が、ワクチン実用化の時期については詳細を述べなかった。

「ワクチンの安全性と有効性について、データと科学に基づいた決定を下すことを、アメリカ市民に固く約束する」

https://twitter.com/ThisWeekABC/status/1279773431618318336


米CNNのインタビューでは、ハーン氏はCOVID-19(新型ウイルスによる感染症)の99%は「全く無害」だとするトランプ氏の主張について、コメントはしないと述べた。

「誰が正しくて誰が間違っているのかといった話はしない」

ワクチン開発の現状は

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は先月、科学者たちは新型ウイルスに有効なワクチンを決してつくれないかもしれないと警告した。

「推定では1年以内にワクチンができるかもしれない」とテドロス氏は述べた。「開発が加速すればさらに数カ月早くできあがるかもしれない。科学者たちはそう言っている」。

ほかの専門家たちは、少なくとも2021年半ばまではワクチンは獲得できないと示唆している。

臨床試験が開始

ワクチン開発には通常数年かかるが、世界中の科学者たちは早期実用化を目指して全力で取り組んでいる。

現在、約120のワクチン・プログラムが進められている。英オックスフォード大学とインペリアル・コレッジ・ロンドンでは臨床試験が始まっている。

米保健当局は2020年末あるいは2021年初頭までにワクチンが製造されるだろうとの、慎重ながら楽観的な見方を示している。

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士は先に、ワクチンの安全性と有効性は「初冬」までに判明するはずだと述べた。

ファウチ博士は、様々なワクチン試験は今月中にも後期段階に入るだろうとした。

「少なくとも、我々が安全で効果的なワクチンを扱えっているのかどうかは、初冬あるいは冬の終わり、あるいは2021年初めまでにはわかるかもしれない」

COVID-19患者の世界の死亡率は比較的低いとされる。テドロス事務局長は今年3月、報告された感染者の約3.4%が死亡したと述べていた。

WHOによると、感染者のほとんどは軽症あるいは中等症で、約20%が酸素吸入を必要としているという。


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(英語記事 FDA chief refuses to back Trump vaccine prediction