
2020年07月06日 13:55 公開
イギリス政府はこのほど、人権侵害に関わっている世界各国の個人に制裁を与える方針を示した。これまでは欧州連合(EU)の一員としてこうした制裁を行っていたが、今年1月末にEUをを離脱したため、今後は単独で制裁を科すことになる。
ドミニク・ラーブ外相は、最初の違反者数十人を発表し、ブレグジット(イギリスのEU離脱)後の新たな制裁制度をスタートさせる。制裁に必要な法案も議会提出する。
対象となるのは、人権侵害を行ったり、それによって経済的利益を得たりした個人や組織で、イギリス国内の資産を凍結するほか、入国を禁止する。
ロシアや北朝鮮などの個人
最初の違反者リストにはロシアやサウジアラビア、北朝鮮の個人の名前が入っているとみられている。一方で、中国の個人や組織は入らないもよう。
中国とイギリスの関係は、香港国家安全維持法の施行によって緊張が高まっている。
ボリス・ジョンソン英首相は、この法律が1980年代の英中共同声明で保障された自由を侵害していると非難している。
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BBCのジェイムズ・ランデール外交担当編集委員によると、新たな制裁策は「長く時間がかかったが、イギリスを国際的な取り決めと人権の世界的な守護者にしたいという政府の外交的野心の中心を担っている」という。
イギリス外務省の外交官は、この制裁策によって「アメリカやカナダ、オーストラリアそしてEUと協力しつつ、独立して動くことが可能になった」と説明。
「今後はジャーナリストやメディア関係者を標的にしたり、宗教や信念を理由にしたりして、不法な殺害計画を行った者なども制裁の対象となる可能性がある」と話した。
ラーブ外相は、「イギリスはきょうから、深刻な人権侵害に関わった人物が入国したり、わが国の銀行の利用し、イギリス経済で利益を上げたりすることを禁じる新しい権力を持つ」と話した。