2020年07月07日 12:19 公開

中国の劉暁明駐英大使は6日、香港での反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」(国安法)をめぐり「イギリス政府が無責任な発言を繰り返している」として、内政干渉しないよう警告した。

劉大使はこの日、オンライン記者会見で、最大300万人に市民権を獲得する道を開くというイギリスの提案は中国への「重大な干渉」に相当すると述べた。

イギリスのドミニク・ラーブ外相は劉大使の主張を一蹴した。

https://twitter.com/AmbLiuXiaoMing/status/1280101982846492672


劉大使は、イギリスが提案を再考することを望んでいるとし、その詳細がわかり次第、中国政府は対応を決定すると述べた。

また、より高速な通信が可能となる5Gネットワーク構築において、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の技術を使用しないと決定すれば、「ほかの中国企業に非常に悪いメッセージを送ることになる」と警告した。

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イギリスと中国は「一国二制度」の下に香港が1997年に中国に返還されることで合意した。香港は中国の一部になるものの、返還から50年は「外交と国防問題以外では高い自治性を維持する」ことになった。

国安法の反対派は、この新法によって香港の自由が損なわれると主張している。中国側はこの主張を一蹴している。

劉大使の記者会見に先立ち、著名な民主活動家の黄之鋒(ウォン・ジーフン、英語名ジョシュア・ウォン)氏は世界に対し、香港と共に連帯して立ち上がるよう求めた。

300万人に市民権獲得の道も

イギリスは中国が1985年の英中共同声明を反故にしたとしている。

ラーブ外相はイギリス海外市民(BNO)パスポートの保持者数百万人にイギリスへの渡航を認める計画は、中国の内政干渉ではないと主張した。

対象となるのは、1997年の香港返還以前に生まれた香港市民が持つことができるBNOパスポートの保持者。現時点で35万人いるほか、申請の条件を満たしている人が260万人いるという。

ラーブ氏は、「我々は中国との前向きな関係を望んでいる。(中略)しかし実際の問題は信頼性だ。中国が国際的義務と国際的責任を果たしてくれると信頼できるかどうかだ」と述べた。

「これは我々が多くの同盟国や世界中の多くの国際的パートナーに伝えているメッセージだ」

渡航を妨害しないよう求める

ボリス・ジョンソン英首相は1日、香港市民300万人に対し、英市民権や永住権の申請を可能にする方針を明らかにした

ジョンソン首相の報道官は、イギリスへ渡航しようとする香港市民を妨害しないよう中国に求めた。

「我々は現在、国案法と、香港との身柄引き渡しに関する法律上の問題の評価を進めている」

「イギリスにはすでに、身柄引き渡しにおける広範なセーフガード(保護措置)がある。人権問題に抵触したり、引き渡し要請が政治的動機に基づくものだとみなされれば、裁判所はいかなる国にも引き渡すことを禁止する」

アメリカ、カナダ、日本、オーストラリアなど多数の国も国安法の施行に懸念を表明している。

国安法は、香港での反逆や扇動、破壊行為、外国勢力との結託などを禁止するもので、違反者は最高で無期懲役が科される。

民主活動家が出廷

香港では6日、昨年に違法な集会を扇動し、組織化し、参加した罪に問われていた、黄氏とほかの民主活動家、林朗彦(アイヴァン・ラム)氏、周庭(アグネス・チョウ)氏の公判が行われた。黄氏と林氏は起訴内容を否認し、周氏は認めた。

黄氏は、国安法はすでに萎縮効果を与えていると述べた。

香港では教育当局が法律に違反するすべての書籍を学校から撤去するよう命じたと報じられている。

当局者はロイター通信に宛てた声明の中で、この問題について生徒に「積極的に教える」ために使用する場合を除き、学校でこのような書籍は提供すべきではないとした。

また、民主活動家らの著書が公共図書館から撤去されている。それらには黄氏や、民主派の香港立法会(議会)議員、陳淑荘(タニヤ・チャン)氏による著書や共著書が含まれているという。

黄氏はこのような動きと戦い続けていくと決意したと話した。

「苦しい戦いだとはわかっているが、国際社会にいる我々の友人たちは国際的な主張を続けている」と、黄氏は裁判所前で記者団に述べた。

「香港では我々はいまも、今週末に予定されている予備選挙で投票するよう、人々に求めている」

「また、香港あるいは国際社会のより多くの人に、中国に屈するという選択肢はなく、我々は立ち上がって戦うことを中国政府に認識させ続けるよう呼びかけている」

国安法違反の初の逮捕者の公判も6日に行われたが、保釈は認められなかった。「香港を解放せよ」というサインを掲げながらバイクで警察に突っ込んだとされる。

(英語記事 China warns UK over Hong Kong 'interference'