2020年07月10日 9:54 公開

米連邦最高裁は9日、ドナルド・トランプ米大統領の財務記録について、ニューヨーク連邦地検の閲覧を認める判断を示した。ただし、連邦議会に開示する必要は認めなかった。

野党・民主党が多数を占める連邦下院の2委員会と、ニューヨーク連邦地検のサイラス・ヴァンス検事(民主党所属)が、過去数年にさかのぼるトランプ氏の納税記録の開示を請求している。

トランプ氏はこれまで自分の納税記録を公表してこなかった。アメリカでは1976年の大統領選に出馬したジミー・カーター大統領が納税記録を公表して以来、大統領候補はそれにならうのが慣例となっていたが、トランプ氏は公表しなかった。

ニューヨーク連邦地検の開示請求について最高裁は、賛成7、反対2の賛成多数で、大統領には刑事捜査を絶対に受けない特権などないと判断した。

トランプ氏の弁護団は、大統領として在任している限りトランプ氏には刑事捜査を受けない絶対的な特権があると主張していた。また、連邦議会がトランプ氏の財務記録を見る正当な事由はないと、開示請求に反対していた。

最高裁は判決で、「いかなる市民も、たとえ大統領でも、刑事手続きにおいて証拠提出を求められばそれに応じるという広く共通の責務が、絶対的に適用されないなどあり得ないのだと、この法廷の偉大な法曹家が200年前に判断を確立した」と説明。「その原理をこんにち今一度、確認する」と判断を示した。

一方で最高裁は、関連した別の2件の請求について、検察が捜査資料として閲覧するトランプ氏の財務記録の内容を、連邦議会と共有する必要はないと判断した。連邦議会には大統領の個人情報の開示を請求する相当の権限があるが、それは無限ではないと、最高裁は述べた。この2件の請求は下級裁に差し戻される。

議会委員会からの記録開示請求は、現職大統領の行動への議会の監視権限に影響するだけに、最高裁がどう判断するかが注目されていた。

最高裁判断についてトランプ氏は連続ツイートで、「最高裁は請求を下級裁に戻した、審理は続く。なにもかも政治的な追求だ。自分はムラーの魔女狩りなどに勝ったが、今度は政治的に腐敗したニューヨークで戦い続けないとならない。この大統領に対しても政権に対しても不公平だ!」と書いている。

なぜ納税記録が大事なのか

下院では情報委員会と金融委員会が、トランプ氏の経済活動にかねて関わりのあるドイツ銀行と、トランプ氏の財務管理を長年担当してきた米マザー会計事務所に対して、納税や財務の資料提出を要求してきた。両委員会は、現職大統領の私人としての経済活動と国の首脳としての立場の利益相反を、現行法で十分に規制できているか検討している。

ニューヨーク連邦地検のヴァンス検事は、刑事捜査の証拠として、トランプ氏に納税記録などの提出を命じている。

ヴァンス検事は、トランプ氏と不倫関係にあったと主張する女性に2016年に口止め料が払われた事実を隠ぺいするため、財務記録に粉飾がなかったかを調べており、そのためにトランプ氏の財務記録などが必要だと主張していた。

最高裁が検事の請求は認めたため、トランプ氏の財務に対する刑事捜査は再開される。

野党・民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は最高裁判断を受けて、トランプ氏の財務記録の議会提出を今後も求め続けると述べた。

「議会は今後も引き続き、国民のために監視活動を続けていく。この国の憲法の中核にある三権分立の原則を維持し続ける」と、議長は記者団に話した。

(英語記事 Trump taxes: Supreme Court says New York prosecutors can see records