2020年07月10日 11:05 公開

米政府は9日、中国西部の新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒に対する人権侵害に関わったとして、中国の高官らを制裁の対象にしたと発表した。

中国政府は新疆ウイグル自治区でイスラム教徒のウイグル族らを多数拘束し、信仰を理由に迫害し、不妊手術を強制しているとして非難されている。

今回の制裁は、中国共産党で同自治区トップの陳全国書記ら4人がアメリカ国内に保有する資産を対象としている。

中国政府は、イスラム教徒への虐待はないと主張している。

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新疆ウイグル自治区では近年、約100万人が再教育のために収容施設に拘束されたとみられている。当局は、過激主義や独立運動を抑えるため「職業訓練」が必要だと説明している。

米政府によると、制裁対象にした中国当局者の中で陳書記は過去最高の地位にある。陳氏は中国政府の少数派政策の立案者とみられている。

他の制裁対象は、新疆公安局の王明山長官、共産党の同自治区幹部の朱海侖氏、元公安幹部の霍留軍氏。

制裁措置により、これら4人とアメリカで経済的な活動に関わった場合は犯罪となる。4人のアメリカ国内の資産は凍結される。


霍氏を除く3人とその家族は、アメリカへの入国が禁止される。

また、新疆公安局も制裁対象に含まれている。

マイク・ポンペオ国務長官は、新疆ウイグル自治区での「おぞましい組織的な虐待」に対する行動だと説明した。

「中国共産党が新疆ウイグル自治区でウイグル族やカザフ族、他の少数派の人権を侵害しているのを、アメリカは黙って見過ごしはしない」と、同長官は声明で述べた。


ポンペオ氏は、同自治区での虐待に関与したとみられる不特定の共産党員やその家族らに対し、ビザ発給を制限することも明らかにした。

米中の緊張は、新型コロナウイルスの世界的流行や、中国政府による香港国家安全維持法の導入をめぐって高まっている。

中国はウイグル自治区で何を?

人権団体は、新疆ウイグル自治区で高度の警備体制が敷かれた収容施設に拘束されているイスラム教徒は、最大100万人に上るとしている。

BBCは昨年、わずか1週間のうちに、同自治区南部から1万5000人が収容施設に入れられたことを示す流出文書を確認した

文書は収容者について、「過去の活動が違法で犯罪的で危険な性質のものであることを深く理解」した場合だけ解放されるとしていた。


中国当局は、ウイグル族は「職業訓練所」で教育を受けており、その目的は暴力的な宗教過激主義と闘うことだとしている。

しかし、多くの人が礼拝やベール着用などで信仰を表明したという理由だけで拘束されていることを示す証拠が浮上している。トルコなどの外国に家族がいることを理由に拘束された人もいるとみられる。

ウイグル族は大多数がイスラム教徒。民族的にはツルキ語族で、新疆ウイグル自治区の人口の約45%を構成している。

中国研究者のエイドリアン・ゼンズ博士は先月、中国政府が新疆ウイグル自治区の女性に不妊手術や避妊器具の装着を強制しているとの報告を公表した。

この報告を受け、国連に調査を求める声が各国から出ている。

(英語記事 US sanctions China officials over Xinjiang 'abuse'