梅田 今は学校への登校も再開され、学童も同様だと思いますが、各種調査によると、出勤再開後も在宅ワークを取り入れる企業も増えてきたようですね。

 麻生 取材した中では、この機に在宅やリモートワークを活用していく方向に舵(かじ)を切ったり、併用する企業が多い印象を受けています。出社したとしても時差出勤や分散勤務です。これは業務効率化の問題よりも、やはり新型コロナ禍の影響ですね。

 時差出勤や時短という形態をとる企業は、在宅にはできなくても、感染リスクを極力下げるために緊急事態宣言中からその方法を採用していましたよね。コロナがきっかけではあったけれども、効率化にも繋がるから今後も在宅勤務やリモートワークを併用していこうという企業が、最も多いように見受けられますね。

 梅田 今回の新型コロナ禍は、これまで放置されていた社会のさまざまな問題を浮き彫りにして、目に見えるような形にしてしまったというか、現象として顕在化させたような印象があるのですが、それに関して思われるところはありますか?

 杉山 現代社会には矛盾というか、問題がいっぱいあったんですけど、問題をごまかしながらなんとかやってきたわけです。これまでも、問題が極限に行き着いたら大改革が起きたり、果ては革命や戦争が繰り返されてきましたが、新型コロナ禍のように社会を巻き込むような現象が起こると、一番弱いところに影響が集中してしまいます。

 現代社会で最も影響が出るのが、派遣社員・バイトやフリーランスの方たちです。今回、生活や権利を守る社会の仕組みがないまま、政府がその働き方を推奨してきた問題が浮き彫りになりました。
※写真はイメージです(ゲッティーイメージズ)
※画像はイメージです(ゲッティーイメージズ)
 梅田 社会を回していく上で、社会一般の人たちの心理として、弱者は構造的に必要なんでしょうか?

 杉山 犠牲はどの社会でも必要としています。古代ギリシャや昔の欧米列強でも奴隷制度がありました。便利に使われてくれる人というか、いろんな矛盾や問題を吸収してくれるような働き方をしてくれる立場の人は、どの社会でも時代でも必要だったということでしょうか。

 これはよく言われる立場の上下を取り合う「マウンティング」ではなくて、社会を上手に回すために、臨機応変に柔軟に動いてくれる人が単純に必要なんです。

 麻生 非正規雇用者などが社会の調整弁となってしまっていますよね。実際に、ショッピングモールのテナントでパート勤務されていた方は、3月から営業時間が徐々に短縮されていき、就労時間が短くなって収入減を心配していた矢先に、モールの従業員に新型コロナの感染者が出たため、臨時休業になって、翌日から仕事がなくなりました。突然収入が途絶えて、絶望的な気持ちになったそうです。

 梅田 それで言えば、休業補償も給付金もまだ全然行き渡ってないですよね。だから休業中も従業員に給料を自腹で払える会社はいいんですけど、そうではないところはもうスタッフを切るしかない。緊急事態宣言前後で雇い止めが問題になりましたが、これは社会的に切り捨てられる人から先に切り捨てられたということでしょうか?