2020年07月16日 13:29 公開

イギリス南西部ブリストルで15日早朝、反人種差別デモで引き倒された奴隷商人の銅像の台座に、デモ参加者の黒人女性の彫刻が置かれた。市長はこの彫刻を撤去するとしている。

ブリストルでは先月7日、アメリカの黒人男性死亡事件に端を発した反人種差別デモで、17世紀の奴隷商人エドワード・コルストンの銅像が引きずり下ろされ、ブリストル湾に投げ入れられた

この時、デモに参加していた黒人女性ジェン・レイド氏がコルストン像の台座の上に立ち、拳を突き上げた。その姿は写真に撮影されていた。

今回置かれたの彫刻は、レイド氏がモデルになっている。

ブリストルのマーヴィン・リース市長は、コルストンの銅像の代わりに何を置くかはブリストル市民が決めるべきだとツイートした。

「ほとばしる力」

ジェン・レイド氏の彫刻を手がけたのは芸術家のマーク・クイン氏。彫刻は樹脂製で、「ほとばしる力」(A Surge of Power)とのタイトルが付けられた。拳を突き上げて立つレイド氏の写真にインスパイアされて制作したという。

クイン氏はレイド氏にソーシャルメディアを通じて連絡を取り、一緒に彫刻の制作に取り組んだ。

彫刻は15日午前4時30分前に設置された。

クイン氏は、人種差別に関する議論を継続するために一時的に設置するつもりだとしている。

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BBCプロデューサーのアレックス・リトルウッドによると、15日のほとんどの時間帯にレイド氏の像の周辺に人だかりができていた。多くの人が片膝をついていたという。

「ほとんどの人が像を支持していたが、午後には、蛮行だとして像の撤去を求める人が数人やってきた場面もあった」

「許可していない」

リース市長は、新しい像を撤去することは「コルストン像が引きずり下ろされたことに喜ぶ人、同情する人、(中略)そして像が撤去されたことで自分たちが知っているブリストルの一部を失ったと感じる人にとって、自分の街を構築するために重要」だと述べた。

また、彫刻の制作と設置判断はロンドンを拠点とする芸術家によるものであり、「設置の要請も許可もされていなかった」と付け加えた。

クレオ・レイク市議会議員は、新しい像の登場を歓迎した一方で、台座を長期的にどうしていくかはブリストル市民が決めるべきだとの市長の意見に賛同した。

「新しい像の設置が一時的なものになることを期待している。像が売却されたら、代金の一部を今年9月にブリストルの中等学校で展開される予定のCargo教育プロジェクトに使うと聞いた。すばらしいことだ」

「人種的正義と平等のため」

レイド氏は彫刻について、「ブリストル市民が本当にありがたく思うものだと思う」と述べた。

「夫があの日の抗議デモで写真を撮って、ソーシャルメディアに投稿した。すると夫に、マーク・クイン氏から私に連絡を取りたいとの知らせが入った」

「私はデモの後、クイン氏のスタジオで201台のカメラに取り囲まれて、あらゆる角度から写真を撮ってもらった。それが3Dプリンターに送られ、型が作られた」

レイド氏は、彫刻は「人種的正義と平等を目指して前進し続ける」のに役立つので重要だと述べた。

レイド氏は「圧倒的な衝動」に駆られてコルストン像が引きずり下ろされた台座に上ったという。

「台座の上に立って、ブラックパワー(黒人の力)に敬意を表するために腕を突き上げた。完全に自然に体が動いた。(中略)考えてすらいなかった。自分の体に電流が流れているような感覚だった」

「この彫刻は私の母や娘、私のような黒人のためのものだ」

クイン氏は、レイド氏が台座に立つ写真をみて「すばらしい」と思ったという。「彼女はただそうすることで、並外れた芸術作品を作りだした。これを物体に変えて、台座の上に戻す必要があると思った」。

「公共の場でなければならなかったし、エドワード・コルストン像が置いてあった場所に設置したかった」

(英語記事 Black Lives Matter protester statue to be removed