麻生 求めるものがクライアント側にもいろいろあって、共感や心情に寄り添うことを求めてる人もいれば、コーチングのように引っ張ってくれるもの、具体的なアドバイスが欲しい人もいますね。同じクライアントでも時々で求めるものも変わりますから、要求も汲み取る必要性がありますよね。

 杉山 カウンセリングの話でいえば、ポイントはウマの脳をおとなしくさせることなんです。ウマの脳のほかにも、自分の立場や評価を気にする「サルの脳(内側前頭前野)」、課題達成や計画性を担う「ヒトの脳(外側前頭前野)」があるんですが、人類になってから進化した部分が働き始めると、ウマの脳の働きを緩和してくれるんです。

 つまり、助言や提案、アドバイスによってヒトの脳は活性化するんですね。ウマの脳をおとなしくさせ、ヒトの脳を活性化させることで、人は気が楽になリます。この両方を行うのがカウンセリングというわけです。

 麻生 近年はカウンセラー登録サイトをビジネスとして運営する企業もあるそうですが、「話すカウンセリング」と「書くカウンリング」では、書くカウンセリングの需要が上がっているようです。

 杉山 文字にする行為は、心の中を外に出してみる意味で「外在化」と言うんですけれど、外在化すると、自分と距離を取って見ることができる。そうすると合理的に見えるから、ウマの脳を外に出すことで切り離せます。合理的に考えられないこと考えるときは、だいたいウマの脳が暴走している。これを調整するために文字化して、外在化で整理をするわけです。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 麻生 確かに文章化する行為だけでも効果がありますよね。頭の中、心の中を文字にして外へ出す。そして、その文章を見る自分がいる。そうして距離を取ることで、自身を客観視できる。いわゆる「メタ認知」ですね。

 杉山 あと、オンラインカウンセリングってずっとカメラに向かっていて、しかも自分の顔が映っているから、緊張感もあるし、何より疲れるんですよね。そういう面でも支持されているのかもしれませんね。

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 社会の混乱が続く中、家族に変化はないか、同僚や部下などにも変調がないか、きちんと向き合っていく必要もありそうだ。次回は、より以前に近い状態を取り戻す「第3ステップ」に進むための問題点を探っていく。

 すぎやま・たかし 神奈川大人間科学部教授、同大心理相談センター所長、臨床心理士、1級キャリアコンサルティング技能士。昭和45年、山口県生まれ。学習院大大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専門は臨床心理学、応用社会心理学、産業心理学など。心理学オンラインサロン「心理マネジメントLab:幸せになる心の使い方」を主催する。著書に『ウルトラ不倫学』(主婦の友社)など多数。監修書に『マンガでわかる 心理学的に正しいモンスター社員の取扱説明書』(双葉社)。

 あそう・まりこ 家族心理ジャーナリスト。昭和52年、福岡県生まれ。出版社勤務などを経て現職。生きづらさの背景として、親子・母子関係に着目。家族問題、母娘関係や子育て、孫育てなどをテーマに取材活動を続ける。そのほかにも家族問題に関する心理相談を行っている。