パブリックコメントに対して香川県側は、教育委員会が2017年に実施した「スマートフォン等の利用に関する調査」を例示して回答しています。この調査によれば、「ネット依存の傾向にある」と考えられる生徒の割合は中学生で3・4%、高校生では2・9%となっています。

 調査内容を詳細に見てみると、週1回以上利用しているアプリなどについて、小学生(4~6年)ではユーチューブなどの動画サイトが最も高く63・2%で、次いでオンラインゲームが39・8%となっています。中学生になると、ユーチューブなどの動画サイトが最も高く76・9%、次いでLINEやツイッターなどのSNSが62・8%とのことでした。

 つまり、パブリックコメントの質問者側はゲーム障害の根拠について聞いたにもかかわらず、県はネットとスマホに関する調査結果を持ち出して答えていたわけで、質問と回答がすれ違っていたことになります。香川県の「根拠」を改めてまとめると、次の通りです。

WHO、久里浜医療センター:ゲーム使用時間が1時間を超えると、成績低下が顕著
教育委員会の調査:ネット依存の傾向にあると考えられる生徒の割合は、中学生では3・4%、高校生では2・9%


 このように見ると、ゲーム条例の質問に対してかなり無理筋な回答をしたと言わざるを得ません。

 私もeスポーツコミュニケーションズという会社を経営している事業者ですから、当然条例の行方に興味を持っていました。その全文もくまなく確認し、パブリックコメントにもかなり長文の意見を送りました。

 だから「全般的に、条例のもととなる科学的根拠を示してほしい」という質問に対し、香川県側の回答は、さまざまな調査から何とか当てはまりそうなものを持ち出して、無理やり条例を正当化できそうな答えを導こうとしているとしか見えなかったのです。一部の「ゲームをどうしても規制したい人」によって、この条例を正当化させる仕事を押し付けられた事務方の苦労を考えると、同情を禁じえません。
※写真はイメージです(ゲッティーイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 私が危惧しているのは、条例成立によって、大阪市などで同様の条例を設ける動きが見られることです。しかし、前述したように、ゲームによって救われている人や、生計を立てている人もいるのが現実です。

 だからこそ、政治家には、WHOや専門家のもっともらしい意見に耳を傾けることと同程度のエネルギーを、ゲームから恩恵を受けている人々にも注ぎ、公正中立な意見を聞いた上で冷静に判断していただきたい。私はそう願っています。