高岡伸夫(アジア経営者連合会理事長)
小倉正男(経済ジャーナリスト)

 小倉 新型コロナウイルスの感染拡大は、ビジネスにおいて日本がかなり変わるきっかけになるなという感じがしています。例えば企業と経営、そして社員の在り方ですね。従来は上司から会社や酒席で説教されることもオンザジョブ教育で、中にはトヨタじゃないですが、会社の運動会みたいなものもありました。そういう非常に村社会的なものを包含していたのが日本でした。

 80年代、90年代、2000年代とグローバル化の中で変化を遂げてきましたが、やはりここで大きな転換が図られるでしょうね。コロナ禍と言っていますが、「禍福は糾(あざな)える縄の如し」で、「福」の部分もあるかもしれない。会社と社員の新しい関係が生まれてくるのかなという感じがします。

 高岡 そうですね。これまでは無駄なことというのか、何か努力をしていることに意義があると勝手に思い込んでいた感があります。アメリカに住宅リフォームで有名なザ・ホーム・デポという企業がありますが、商談なんかさせてくれません。とりあえずあいさつなんてないんですよ。「とにかく先に登録してください」と言われる。すべて登録した上で商談を始めましょうと。

 日本では考えられないかもしれませんが、それはもうグローバルスタンダードなんですよ。日本だけですよ、とにかく上司を連れて行って、「よろしくお願いします」と言うのは、何がよろしくなのか分からないということですよ。

 国会においてもITについて理解が浅い方がまだまだいるのではないかと思います。どうやらこのコロナ禍の中で、経済人が先行していくのではないかと思います。もう政治と経済は完全に分離していって、われわれは経済人としてグローバル化の中で素早く展開していかないと生き残れないという認識で、それがもう目の前に来たということです。

 小倉 そうですね。結局、企業は生き残らないと、サバイバルしなきゃいけないですからね。企業は危機管理やビジネス環境への変化対応に強くないと生き残れません。

 高岡 だから常に挑戦しないといけない。今までは物のイノベート(革新)、さらにサービスのイノベートをしてきました。ですが、今回のイノベートはやっぱりDX化と呼ばれていますが、デジタルトランスフォーメーションなんです。

 いわゆるデジタルをどういう風に組み合わせて、新しく組み換えて力を持つ、独自性を持たせるかという、そのDX化をどこも積極的に取り組んでいますが、実はコロナが始まるまでは他人事のような話だったんですね。

 特定のIT関連企業だけが非常に力を入れて売り込もうとしていましたが、むしろわれわれのような会社も気づけば、社内はデジタル化のものばかりですよ。情報もネットワークも。だからそれをもう一度再生、つなぎ合わせて新たなビジネスモデルが作れるわけです。
高岡伸夫氏(iRONNA編集部、西隅秀人撮影)
高岡伸夫氏(西隅秀人撮影)
 小倉 なるほど、そうですね。企業は常に結果も出さなければならないわけですから。