小倉 コロナ禍によるデジタル技術の進歩は、よい意味で大きな変化をもたらす気はしますよね。

 高岡 今の若い世代はあまりテレビを見ないし、新聞も読まない。だけどその新聞の裏にあるコンテンツはしっかり見ています。むしろわれわれより情報収集をしている。だから情報が素早く、グローバルに誰でも手に入れることができるようになったことで、新しい組織づくりが欠かせないわけですよ。

 小倉 今の若い人たちのやり方を見ていると決算短信、IR情報などもそうですが、あらゆる情報がネットから入ってきますから、そうした情報収集力は長(た)けています。ただ、ネットからの情報も受け手を誘導しようという面もありますね。情報収集・分析と同時に経営者がどういう思考でビジネスをどうしようとしているか、そうしたことも察知していかなければならないでしょう。

 高岡 重要なのは経営者がどう考えているかということです。経営者がどういうビジョンを持って、世の中でどんなミッションを担っているかを明らかにするのが記者ですから、一番大事な仕事をされていると思います。未来を見据えてどんどん進んでいく経営者と、もう過去と今の話しかしない経営者は多いと思うのですが、コロナでかなり変わったでしょうね。

 小倉 そうだと思います。これからの変化は劇的になるでしょう。確かにフェイストゥフェイスで会うこと、対面での交渉などは日本では重んじられてきましたが、対面ももちろん重要ですが、対面以外のところでビジネスが作られていくようなケースも増えてくるのでしょうね。

 高岡 その一つはオンライン会議ができる「Zoom」のようなシステムは、ほぼ世界共通になりました。ところで、上方落語協会会長の笑福亭仁智さんとお話する機会があって、7月1日から天満天神繫昌亭(大阪市北区)で落語が再開されたとのことですが、若い落語家はネット配信していると聞きました。要するに世界中で落語を楽しめるようになったわけです。

 これはこれまではあり得ない話です。やはりトップに立つ人たちの行動は早い。270人という上方落語協会の会員の中には若い人が多いだけではなく、高学歴の人もいる。そういう人たちがチームを組んで実はイノベートしているわけです。そしてネット配信でそれなりの収益を上げているそうです。少ない投資でマーケットを世界に広げているんですね。

 小倉 やはりバーチャルというかデジタルを使わざるを得なくってますよね。さっきも話になりましたが、デジタルというかVRでどういう形で世界に発信するかを考えないともうやっていけなくなってきていますね。
新型コロナウイルスの影響で常態化しつつある自宅でのテレワーク=2020年4月、東京都世田谷区(鈴木健児撮影)
新型コロナウイルスの影響で常態化しつつある自宅でのテレワーク=2020年4月、東京都世田谷区(鈴木健児撮影)
 高岡 だからそういうマーケット情報を掴んでさえすれば、あとはもうVRで中に入って、完成予想まですべてソリューションできる。今までの展示会では、実際にそこでは名刺の交換ぐらいしかできませんでした。

 結局改めてもう一度足を運ぶ必要がありましたが、ネット上で完結できるわけです。逆に言うとチャンスですよね。ネット展開すれば今まで予想もしなかったお客さんから注文がとれるということになりますから。