小倉 そうですね。アジアや世界の視点に立てば、東京でなくていいわけですから。今、米中貿易戦争というような流れの中で、中国はまた強硬に反発をしていくでしょう。そもそも中国にそのサプライチェーンが集中しすぎているのが問題だという世界的な政治問題もあります。自然にその中国だけに依存するのではなく、アジア全域に仕事が分散されていければ、これはまた一番いい形にはなります。

 高岡 ただ、そうした中で中国にむしろ出ていくっていう手もありますよ。これは何かというと、中国が掲げる「一帯一路」構想で、なおかつ中国国内の成長する市場に参入する戦略もありますよね。または、今おっしゃったように中国をメインから外していきながら、アジア各国に自分の会社はどんなビジネス、政策でいくかというところとそれぞれの会社の戦略によって変える必要があると思います。

 小倉 なるほど、コロナ禍というものを転じさせて、いかに日本のビジネスにプラスに転換していくかが重要ですね。

 高岡 その視点で言えば、一つは単純ですけど、現地化ですよね。ご存じの通り、車がまた注目を浴びています。今回コロナ禍で、中国もそうですが、車はまだまだ伸びます。ただ課題は環境問題で、やはりそこはトヨタがすごいなと思ったのはハイブリッドの技術を開放しましたよね。そういうことをしながらトヨタは中国では戦略、いわゆる現地化をとっていくというやり方です。

 小倉 トヨタはコロナ禍にテレワークを恒常化すると発表した。かつては最も日本的な企業でしたが、世界企業に飛躍する中で大きく変わってきていますね。

 高岡 それは品質にこだわってきたという日本が一番持っている力を最大限出したのが、トヨタだと思うんですよ。これから日本がしっかりとした会社、国を作っていくのであれば日本人の特性をどう広げていくかが問われます。

 それは感覚的なアートの世界や品質を維持することに、日本は世界の中でも長けていると思います。とはいえ、マーケットも必要だし、作るコストも必要で、それはグローバル化する中で特にアジアが世界の中でもう圧倒的な力を持っている。未来に向かって取り組めばやはりアジアは欠かせません。
高岡伸夫氏(左)と小倉正男氏(西隅秀人撮影)
高岡伸夫氏(左)と小倉正男氏(西隅秀人撮影)
 各国の平均年収が上がっていくと同時にコストが上がり、それにつれてある程度国を移動していかなければいけません。もともと会社が大事にしている価値観を残しながら時代のニーズに合わせて変化させ、どう成長させるか。これらを考えられるよう、われわれアジア経営者連合会のようなところでいち早く情報を得て、それを実行できる会社がこれからも飛躍的に発展し、社会の役に立つと私は思います。これを「ワンアジア」でアジア経営者連合会のみなさんとやっていきたいというのが、私の強い想いなのです。(構成・iRONNA編集部)

 たかおか・のぶお タカショー代表取締役社長、アジア経営者連合会理事長。昭和28年、和歌山県海南市生まれ。大阪経済大卒。商社勤務を経て、55年に同社設立。現在、一般社団法人日本ガーデンセラピー協会理事長、一般社団法人美しく老いる会理事も務める。

 おぐら・まさお 経済ジャーナリスト。早稲田大法学部卒。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長・中部経済倶楽部専務理事を経て現職。著書に『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(ともに東洋経済新報社)など多数。