杉山 それもあるかもしれないですね。それでも万一のリスクが高い人を守る施策、今の状況であれば高齢者への対策が最も効果があるはずで、例えば高齢者と若い人の接触を減らしたりするような対策をとった方がいい。それなのに「若い人が危ない」みたいな世論に持っていこうとしているのを感じます。

 そもそも「世代間闘争」、つまりジェネレーション間の闘争は欧米では当たり前なんですよ。一方、日本は世代間闘争がないのが特徴です。とはいえ、実は若い人の不満がくすぶっている。

 今の高齢者の年金は徐々に減額されてきたとはいえ、まだまだ手厚いですよね。ところが、私の世代やさらに若い世代は、年金はほとんどもらえないといわれています。企業では、仕事しないベテランのしわ寄せがいっぱい働く若手にきていて、給与格差が倍くらいあるという話もあります。

 日本では若い人は表立って上の世代を批判しませんが、実は不満だらけなんです。その中で、若い人たちの不満をさらに積み上げるような施策や報道が続いているのが不安です。

 麻生 世代間闘争のお話がありましたが、私は俗に言う「氷河期世代」です。同世代にはそれなりの大学を出ていても非正規雇用だったり、地方では家庭や子供を持つことはおろか、ひとり暮らしすらままならない賃金で自立できずに実家を出たことがない人が、非常に多くいます。

 2019年に始まった「就職氷河期世代支援プログラム」によって、地方の役所など主に公的機関から求人の動きが始まった矢先に、新型コロナの問題が起きました。氷河期世代はますます救われないですよね。
就職氷河期世代を対象に行われた厚労省の筆記試験=2020年2月2日、東京・霞が関
就職氷河期世代を対象に行われた厚労省の筆記試験=2020年2月2日、東京・霞が関
 今の若い世代、特に就職を控えた学生たちも、売り手市場が続いていたところに、コロナのせいで大変な事態に陥っていますよね。そういう世代に対して、温かい目を向ける氷河期世代もいれば、自分たちの報われなさから同じ苦しみを味わえばよいという人たちもいるようですね。

 コロナ禍で早期退職を募る企業も増えており、マスコミでも例外ではありません。ある企業では早期退職者募集以前に2、3月時点で中途採用の求人を掛けていました。他社でキャリアを積んだ若手というのは、新卒よりも育成コストが安く、50代以上の在職社員よりも安い給与で、仕事のセンスも若い存在ですからね。人件費削減や、社内体制の刷新が目的なのではと感じました。