梅田 もう生涯を一社に捧げるという時代でもなくなってきていますよね。日本で長く続いた年功序列の給与体系も、今回を機に大きく変わりそうですね。

 麻生 そうですね。

 梅田 政府や自治体の対応に関して言えば、新型コロナ感染症対策分科会(元・専門家会議)には逼迫(ひっぱく)感があります。しかし、政府や都知事などは言葉でごまかして対応が遅い印象で、ダメージを少なく見せている気がします。庶民感覚と明らかに違う為政者の心理はどうなっているんでしょう。

 杉山 行政を執行する側としては、「できれば無闇(むやみ)に責任を被りたくない」という心理が働いていると思います。一方で、成果と実績はちゃんと評価されたい。こういう心理はどんな時代でも働いているのではないでしょうか。

 専門家会議というのも、要は「御用会議」になりやすいんですよね。学者の中でも「御用学者」と呼ばれる人が多く招聘(しょうへい)され、未知の人はあまり呼ばれないですね。

 梅田 政権に近かったり、省庁などからヒアリングされて接触があった学者や識者ですね。

 杉山 行政にとって、専門的な部分において自分たちでは責任を取れないという問題がありますね。そこで専門的な部分で責任を取ってくれる専門家が欲しいんですよ。逆に言うと、責任を被ってでも行政に協力したい人が御用学者になるわけですよ。
新型コロナ感染症対策分科会の冒頭、あいさつする尾身茂会長(前列中央)。左は加藤勝信厚労相、右は西村康稔経済再生相=2020年7月6日(川口良介撮影)
新型コロナ感染症対策分科会の冒頭、あいさつする尾身茂会長(前列中央)。左は加藤勝信厚労相、右は西村康稔経済再生相=2020年7月6日(川口良介撮影)
 梅田 ある意味、覚悟を決めている人たちなんですね。

 杉山 とはいえ、責任は二重構造になっていて、学者や専門家が責任を取るのは自分の見識に対してです。ただ、その見識を採用して対策を立てる責任は行政にありますが、行政は「専門家の見識に基づいて施策を取りました」と、見識そのものに関しては専門家に責任を預ける。専門家は、自分の専門分野の学識や研究成果に責任を預ける。そういう構造で、うまく行かなかったときの責任を個人に負わせない仕組みになっているのです。