平本淳也(元ジャニーズ所属タレント、作家)

 TOKIOの長瀬智也が来年3月末で脱退し、ジャニーズ事務所も退所することが明らかになった。このところ頻繁に取り沙汰されるジャニーズに関するニュースは、脱退や退所、独立が多い。これを踏まえ、今回は新体制のジャニーズについて考察したい。

 ジャニーズ事務所創業者で前社長のジャニー喜多川氏亡き後、事実上の後継者とされる滝沢秀明(タッキー)副社長の手腕への疑問や求心力の低下を指摘する声は少なくない。ただ、これは果たして真実なのだろうか。

 確かにジャニーさんがいなくなったジャニーズは、これまでとは大きく異なっている。完全なるピラミッド型の体制だったが、その頂点を失って1年あまり。当然だが、トップが代われば、どこでもその企業体質は変化する。

 よく知られているが、ジャニーズは、特にカリスマ性が武器でもあったジャニーさんという存在そのものが失われただけに、危機感が広がったことは否めない。ただ、企業としてのジャニーズが不動のまま在り続けられるのは、作り上げてきた財産と資産が盤石だけにこれは揺らぐことはないだろう。

 ではなぜ、所属タレントの流出が止まらないのか。企業体としてのジャニーズは安泰であり、もちろん業界最大手のプロダクションとしての地位も健在だ。その威厳と権威は余裕さえあり、逆に言えば余裕があるがための自由と不自由がタレントたちに大きな影響を与えているという側面もある。

 そもそも、暗黙の了解として「ジャニーズに逆らう者がいない」という状況がある。根本的に「ジャニーズに代わるものがない」といった方が分かりやすいだろうか。メディアもファンもわざわざジャニーズを選んでいたワケではなく、必然的にジャニーズに目が向き、意識が集まるといった具合だ。ジャニーズでなければダメというより、ジャニーズ以外にない「唯一無二」の存在だということだ。 

 「そろっている」から「無難」という認識まで、さまざまな表現があるが、「ジャニーズでダメなら他の何を起用してもダメ」と某有名プロデューサーも強く言っていたぐらいだ。テレビに限らず舞台の演出家から映画監督まで「ジャニーズを目指せ」「ジャニーズを見習え」「ジャニーズに負けるな」、多くが口癖のように使う「教え」が業界にはある。

 頂点にジャニーズがあり、そのジャニーズを使えるならそれ以外は考えられないということだ。ただし、その価値が将来、未来永劫、完全なる形で残るとは限らない。ゆえに、ジャニーさんを欠いたジャニーズにこれまでと同じ「優遇」があるのかどうか、それは他ではなくジャニーズ事務所そのものが不安視しているところでもある。そこで白羽の矢がタッキーに向けられ、今まさに副社長としての地位とジャニーさんの遺志を継いだ体制を整えている最中なのだ。
※(イラスト・不思議三十郎)
※(イラスト・不思議三十郎)
 世間の懸念とは裏腹に、評判はすこぶるよく、タッキー副社長のプロデュース手腕を否定する要素は見当たらない。タッキーも百戦錬磨のプロであって、むしろタッキーの上がいるのかと思うぐらいだ。一方、現社長の藤島ジュリー景子氏にせよ、初めての社長ではないし、これまで多くの事業を立ち上げて成功させている経営のプロそのものである。