2020年08月03日 11:55 公開

今年6月に民間の宇宙船として初めて国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功した、米宇宙開発企業スペースX(エックス)の宇宙船「クルードラゴン」が2日午後2時48分ごろ、宇宙飛行士2人を乗せて南部フロリダ州沖に着水した。

飛行士のダグ・ハーリー氏とボブ・ベンケン氏を乗せたクルードラゴンは、フロリダ州ペンサコーラの南に位置するメキシコ湾に、4つのメインパラシュートを開いて着水した。

クルードラゴンがパラシュートでメキシコ湾上空に浮かぶ光景は、この宇宙船が大気圏突入で燃えることなく耐え抜いたことを示した。

パラシュートは飛行士が乗ったカプセルの降下スピードを時速560キロから秒速7メートルまで減速させ、着水させた。

飛行士2人は洋上で待機していた回収船に引き上げられた。ヘリコプターで岸へ向かう前に、医療スタッフが2人の健康チェックを行った。

有人宇宙船の着水は45年ぶり

アメリカの有人宇宙船が着水したのは、45年前のアポロ・ソユーズテスト計画のアポロ司令船以降で初めて。

「本当に光栄で名誉なことだ」と、ハーリー氏は帰還した際に述べた。

「スペースXとアメリカ航空宇宙局(NASA)のチームを代表して、地球へおかえりなさい。スペースXの宇宙船を飛行してくれてありがとう」と、スペースXの管制センターが答えた。

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2カ月前の打ち上げに立ち会ったドナルド・トランプ米大統領は、宇宙飛行士が無事帰還したことを歓迎した。

トランプ氏は「NASAの宇宙飛行士が2カ月間のミッションを成功させ、地球に戻ったのは素晴らしいことだ。全ての人に感謝する!」とツイートした。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1289997897723863040

さらに、「宇宙飛行士が45年ぶりの着水を完了した。すごくわくわくする!」とも投稿した。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1289999271664787463?s=20


クルードラゴンは今年5月31日、スペースXが製造したロケット「ファルコン9」でケネディ宇宙センターから打ち上げられた。

ファルコン9は2021年の打ち上げにむけて改修されることになっている。

月や火星への飛行の「跳躍台」

NASAのジム・ブライデンスタイン長官は、今回のミッションに関わった全ての人を称賛した。

そして、NASAの哲学の変化についてこう述べた。「我々は以前のように、ハードウェアを購入し、所有し、運用したいとは考えていない」。

「地球低軌道という、非常に強力な商業市場における多くの顧客の中の1つの顧客になりたい。しかし、コストや革新、安全性を競い合う多数のプロバイダーと共に、経済発展と能力の好循環を生み出したいとも考えている」

スペースXのグウィン・ショットウェル社長兼最高執行責任者(COO)は、「今日は素晴らしい日だ。ボブとダグが戻ってきた。全員が成し遂げたことを祝うべきだが、今日の出来事をアルテミス計画(NASAの有人月飛行計画)でさらに困難なことを行うための跳躍台として捉えるべきでもある。そしてもちろん、火星への計画にも移っていくことになる」


政府資金を数十億ドル節約

BBCのジョナサン・エイモス科学担当編集委員は、今回のミッションが成功したことで、アメリカの宇宙機関にとって新たな時代が始まると指摘する。

宇宙で必要とされる全ての人間の輸送を、将来的にはスペースXのような民間企業から購入することになると、エイモス編集委員は説明。

米政府機関は、このようにサービスプロバイダー側に委託することで数十億ドルを節約でき、その分をアルテミス計画の一環としての飛行士の月への輸送や、その後の火星への計画に充てられると考えていると伝えた。

(英語記事 Nasa astronauts make landmark splashdown