2020年08月05日 12:59 公開

カナダの医学協会は4日、肥満を体重だけでなく、その人の健康全般から定義すべきだという新しいガイドラインを発表した。医師に対し、食事管理と運動のアドバイスをするだけにとどまらないよう指示している。

医師は今後、患者の体重増加の原因に注目し、健康全般についてアプローチするよう求められる。

このガイドラインは、日常の業務で肥満の診断や治療に当たる医師向けのもの。「肥満にまつわる文化的文脈は、個人の無責任や意志の弱さを示唆するものが大半を占めており、肥満患者に非難と屈辱を与えている」と指摘している。

その上で、新たなアプローチは、肥満患者が体重に関係して着せられた汚名を拭い去ったとしている。

ガイドラインの共同著者の一人で、肥満患者の慈善団体「オビーシティー・カナダ」の調査・政策担当を務めるキシメナ・ラモス=サラス氏によると、多くの医師が肥満患者を差別しているという調査結果が出ており、それが体重とは関係のない健康状態の悪化につながる可能性があるという。

BBCの取材でラモス=サラス氏は、「体重への偏見は、単に肥満に対する間違った考えというだけでない。実際には医療従事者の態度にも影響を与えている」と語った。

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カナダでは肥満の人の割合が過去30年で3倍に増えた。統計局によると、カナダ人の4人に1人が肥満状態だという。

一方、肥満に関するガイドラインは2006年から改定されていなかった。

新しいガイドラインには「オビーシティー・カナダ」のほか、カナダ肥満科医協会、カナダ健康調査研究所などが参画している。

複雑で慢性的な病状

このガイドラインでは、今までどおりボディマス指数(BMI)や腹囲といった指標を使った診断を推奨しているものの、その限界にも言及。医師は、体重が患者の健康にどのような影響を及ぼしているかに、より注目すべきだとしている。

また、体重をわずか3~5%減らすだけで健康状態の改善がみられることや、個人の「ベスト体重」はBMIから換算した「理想体重」とは異なる場合があると指摘している。

その上で、肥満は複雑な慢性的病状で、生涯を通じた管理が必要だと強調している。

「長い間、私たちは肥満を生活習慣と関連付けていた(中略)以前は非難や屈辱を受けることが多かった」とラモス=サラス氏は述べた。

「肥満を抱えている人は、他の持病がある人と同様、支援を必要としている」

心理療法や投薬治療も

新ガイドラインは、肥満患者に「食べる量を少なく、運動量を多く」という単純なアドバイスを与えるだけでなく、心理療法や薬による治療、胃バイパス手術といった外科治療などの支援も行うよう推奨している。

一方で、標準的な減量のアドバイスを完全に排除はしていない。

「体格や体組成にかかわらず、全ての人に健康でバランスの取れた食事や、定期的な運動を取り入れるメリットがある」

しかし、減量すると脳がより空腹を感じて食欲が増すため、減量し続けることは難しいと指摘している。多くの研究で、食事管理で体重を減らした人の大半がリバウンドしていることが分かっている。

ガイドラインではこのほか、肥満患者の体重について話す時は事前に許可を取ること、単純にカロリーを減らすよう求めるのではなく、患者それぞれの健康目標に着目して治療を進めることなどを求めている。

(英語記事 Obesity not defined by weight, says new guideline