2020年08月06日 12:29 公開

レバノン政府は5日、首都ベイルートで前日に起きた大規模爆発で、捜査を待つ間、多数の港湾関係者を自宅監禁すると発表した。爆発による死者は少なくとも135人、負傷者は4000人以上となっている。

レバノンではこの日、2週間の非常事態が宣言された。ベイルートのマルワン・アブド県知事は、多くの建物が倒壊し、30万人もの人々が住む家を失ったと述べた。

爆発のあった港湾地区は治安部隊が封鎖。救急当局は、がれきの下の遺体や生存者を捜索している。数十人が行方不明となっており、湾内でも船で捜索が行われている。


ハマド・ハサン保健相は、負傷者の治療に必要な病院のベッドや医療機器が不足していると述べた。また、「多数の子ども」が救出されたとした一方、死者は増えるとの見通しを示した。

世界保健機関(WHO)は、ベイルートの3つの病院が閉鎖しており、2つの病院が部分的に機能していると報告。5日夕に医療物資を空輸すると述べた。


ミシェル・アウン大統領はこれまでに、2750トンの硝酸アンモニウムが倉庫内に危険な状態で保管されていたことが爆発の原因だと述べている。

マナル・アブデル・サマド情報相は5日、2014年6月以降に「今回の硝酸アンモニウムの保管と警備、書類の取り扱いに関わった」すべての港湾職員を自宅監禁にすると表明した。


税関当局トップのバドリ・ダハー氏は、当局が硝酸アンモニウムの撤去を求めていたが、「それは実現しなかった」と説明。

「原因の特定は専門家に任せる」と述べた。

ベイルート港湾地区の状況。左が爆発前の今年1月25日、右は爆発後の8月5日。写真内の円を左右に移動すると変化を見ることができる。爆発地点ではクレーターができた(Location of blast and crater)


硝酸アンモニウムは、農業用の肥料や爆薬として利用される。

アウン大統領は5日、緊急閣議の開催にあたり、「昨夜ベイルートを襲った恐怖は言葉で表現できるものではない。街を大災害の被災地に変えてしまった」と述べた。

英シェフィールド大学の専門家らは、今回の爆発の威力について、第2次世界大戦で広島に投下された原子爆弾の約10分の1と推定。「原子爆弾によらない爆発としては間違いなく史上最大規模」としている。


爆発のきっかけは?

ベイルート港湾の倉庫には、没収した船舶から降ろされた硝酸アンモニアが、2013年から約6年間保管されていたとされる。

船舶関連の法的事案を扱うウェブサイトShiparrested.comによると、没収されたのはモルドバ国旗を掲げた船名「ロサス」という船。ジョージアからモザンビークに向けて航行中、機械に問題が発生しベイルート湾に入った。

同船は検査の後、出港が禁止された。所有者は法的な争いの末、同船を放棄。安全のため、積み荷は倉庫に保管されたという。


港湾当局と税関当局のトップは地元メディアに対し、安全確保のために硝酸アンモニアを輸出するよう、司法当局に数回にわたって文書で要請していたと話した。

港湾当局トップのハサン・コレイテム氏は地元放送局OTVに、裁判所から硝酸アンモニウムの保管を命じられた時点で、危険性は認識していたと説明。「だが、これほどとは思わなかった」と述べた。


各国が支援

レバノンの最高防衛会議は、責任者は「最大限の刑罰」に処される可能性があるとした。

ラウル・ネーメ経済相はBBCに、「無能ぶりとひどく劣悪な管理の結果だと思う。管理者に大きな責任があり、おそらく前政権にもあるだろう。こうした爆発の後だからといって、誰が何に対して責任があるのか、我々は黙っているつもりはない」と述べた。

フランス、欧州連合(EU)、ロシア、チュニジア、トルコ、イラン、カタールがレバノンに救援物資を送っている。イギリスも医療と人道援助の専門家を派遣する準備を整えている。

(英語記事 Beirut officials under house arrest after blast