2020年08月07日 13:34 公開

米ニューヨーク州のレティシア・ジェイムズ司法長官は6日、同国の強力な銃器ロビー団体、全米ライフル協会(NRA)の解散を求めて提訴した。幹部が資金を私的に流用した疑いがあるとしている。

ジェイムズ州司法長官は、NRAのウェイン・ラピエール最高経営責任者(CEO)を含む幹部数人が、数百万ドルを私的に流用していたと述べた。

「数年間の不正行為に対して、NRA全体の解散命令を求めている」

NRAは提訴について「根拠のない、計画的な攻撃」だと反発した。

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州司法長官の主張

ジェイムズ氏はラピエールCEO、ウィルソン・フィリップス氏、ジョシュア・パウエル氏、ジョン・フレザー氏の幹部4人が、「違法で圧政的で詐欺的なNRAの私的金融取引や不適切な管理、怠慢な監督といった文化を生み出した」と述べた。

また、長年NRAの顔を務めてきたラピエールCEOについて、組織の不正行為の背後にいる「中心人物」だと非難した。

訴状によると、4幹部らの不正行為によって、わずか3年間で6400万ドル(約67億6000万円)以上が失われた。

また、ラピエールCEOはNRA資金の総額50万ドル(約5280万円)を使い、プライベートジェットでカリブ海のバハマを8回以上訪れていたとされる。

ジェイムズ氏は汚職が「非常に広範囲に及んでいる」とし、組織の完全な解散が必要だと述べた。

民主党員のジェイムズ氏は、与党・共和党と密接に結びついているNRAに対する提訴が、自分の政治的立場の影響を受けたものだとする見方を一蹴した。

「我々は事実と法律に従った」とジェイムズ氏は述べた。「NRAが不幸にも、幹部4人の個人的な貯金箱として機能していたとの結論に至った」。

また、首都ワシントンのカール・ラシーン司法長官も6日、「NRAとその幹部による無駄な支出を支援するために慈善資金を悪用した」としてNRAを提訴した。

ニューヨークでの訴訟は、ほぼ確実に法廷で争われることになる。今回の訴訟は、議会による調査や複数の州での調査、内部告発などに直面し、すでに窮地に陥っているNRAに新たな重圧を与えることとなる。

NRAや与野党からの反応は

NRAのキャロライン・メドウズ会長は声明で、この訴訟は「政治的な点数を稼ごうとしているのが見え見えな試みだ」と述べた。「我々はこの闘いにひるんだりしない。この闘いに立ち向かい、打ち勝つ」。

ドナルド・トランプ米大統領(共和党)はホワイトハウスの外で、訴訟は「非常に恐ろしいこと」だと記者団に述べた。

国民の「武器を保有し携行する権利」を保障する米国憲法修正第2条を擁護するトランプ氏は、2016年の大統領選挙キャンペーンの立ち上げからNRAと手を組んできた。

「NRAはテキサスへ移って、非常にいい、美しい暮らしを送るべきだと思う」とトランプ氏は述べた。テキサス州には銃愛好家が多いとされる。

一方、一部の著名な民主党員は今回の動きを歓迎した。

カマラ・ハリス上院議員は、「NRAは大統領を買収し、銃暴力のエピデミック(伝染)を見て見ぬふりする議会メンバーの勢いを増進している」とツイートした。

長年、民主党下院議員を務めるバーバラ・リー氏は、「暴力と無謀さを止める時だ。NRAを終わらせよう」とツイートした。

https://twitter.com/RepBarbaraLee/status/1291419174967873536


大統領と銃器

ニューヨーク州司法長官はNRAに見切りをつけたが、大統領はそうではなかった。

トランプ氏のNRAに対する好意の始まりは、2016年の大統領選キャンペーンにまでさかのぼると、BBCのタラ・マケルヴィ、米ホワイトハウス担当記者は指摘する。

NRAは当時、同氏の選挙運動に3000万ドルの寄付をしたと報じられた。最大ではないにしても、トランプ氏にとって最大の支持者の1つとなった。

トランプ氏は在任中、銃器所有者の権利に関する自分の立場を一部軟化させてきた。そして今では、NRAの仲間が本当に苦難に陥っている中、NRAへの支持を示し、本部を銃愛好家が多いとされるテキサス州へ移転すべきだと主張している。

マケルヴィ記者は、トランプ氏が6日の記者会見で、自分やほかの記者に対し、あたかも真の友人に語りかけるように、NRAはテキサスで「美しい」生活を送れると述べたと振り返った。


(英語記事 New York attorney general sues to dissolve NRA