2020年08月09日 12:45 公開

汚職疑惑を受けてスペインを離れたフアン・カルロス前国王(82)が、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビに到着したと、スペインメディアが写真付きで報じた。

スペインのメディアグループNIUSが報じた写真には、アブダビに到着したとみられるカルロス氏の姿が映っている。

2014年に生前退位したカルロス氏は3日に息子に宛てた書簡で、同国を去るという衝撃的な発表をした。

スペインの最高裁判所は6月、サウジアラビアの高速鉄道をめぐる契約にカルロス氏が不正に関わった疑いがあるとして、捜査を開始していた。

同氏は3日に公表した書簡の中で、検察当局の聴取には応じるとしている。

スペインでの報道は?

スペインの新聞各紙は、前国王の居場所について様々な内容を報じてきた。

ラ・ヴァンガルディアは、フアン・カルロス氏が3日にポルトガルに行き、そこからドミニカ共和国へ渡航する計画だったと伝えた。

別の日刊紙ABCは、同氏はすでにドミニカ共和国に到着していると報道。一方エル・コンフィデンシアルは、滞在先候補としてポルトガルやフランス、イタリアを挙げていた。

5つ星ホテルの1フロアを占有

ところが今では、カルロス氏がアブダビの5つ星ホテル「エミレーツパレス」の1フロアを占有していると報じられている。

同氏はアブダビのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子と親しい仲だとされる。

しかし、カルロス氏の居場所は依然として確認はされていない。スペイン王室と政府はこれまでのところ、同氏の居場所についてコメントを拒否している。

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なぜスペインを離れたのか

カルロス氏は40年近く権力を握った後、2014年に息子のフェリペ6世に譲位した。

退位の数年前までその人気は高かったものの、2012年にボツワナで行ったゾウの狩猟に対する批判や、娘のクリスティーナ王女と夫による汚職疑惑などを受け、生前退位した。

しかしカルロス氏をめぐる論争はそれだけにとどまらなかった。今年6月にはスペインの最高裁が、サウジアラビアの高速鉄道をめぐる契約にカルロス氏が不正に関わった疑いがあるとして、捜査を開始した。

カルロス氏は3日、息子に宛てた書簡で、「スペインという国家と国民、そして国王であるあなたに仕えるという強い信念に基づいて、スペインを離れることをお伝えします」と述べた。

また、「過去に私の私生活で起きた出来事によって公からの圧力が高まっている」こと、フェリペ6世に王としての公務を「静かに」行ってほしいことなどから、スペインを離れると決意したと説明した。

スペイン王室は、フェリペ6世が父親への「心からの敬意と感謝」を持ってその決定を受け入れたと発表した。

スペイン国内の反応

カルロス氏が出国したことで、スペインの君主制の役割や、カルロス氏の汚職疑惑について新たな議論が巻き起こっている。

スペインからの分離独立派が優勢のカタルーニャ州議会は7日、カルロス氏が国を出た後の君主制を非難する、法的拘束力のない動議を可決した。

「スペイン人もカタルーニャ人も、このような騒々しくてばかげた国際スキャンダルはいらない」と、カタルーニャ自治州のキム・トラ州首相は述べた。

また、スペインを再び共和制国家にするよう求めるデモも起きている。

スペインでは1931年に君主制が崩壊。その後、壊滅的な内戦で独裁者フランシスコ・フランコが1939年に勝利した。

(英語記事 Spain's ex-King Juan Carlos lands in UAE: reports