2020年08月11日 13:18 公開

BBCビジュアル・データ・ジャーナリズム・チーム

(この記事の世論調査データは不定期に更新ています)

アメリカの有権者は11月3日、ドナルド・トランプ大統領がもう4年、ホワイトハウスに住み続けるかどうかを決める。

与党・共和党を率いる現職大統領に挑戦するのは、野党・民主党のジョー・バイデン前副大統領だ。バラク・オバマ前大統領の副大統領として特に有名だが、1970年代から米政界で働いてきた。

投票日が近づくにつれて、複数の調査会社が世論調査を繰り返し、有権者の空気を読み取ろうとする。

BBCニュースは各種世論調査の動きを追跡し、勝敗の行方について何が分かり、何が分からないのかを読み解いてみる。

アメリカ全体で両候補の調子は

アメリカ全体で大統領候補の支持率がどうなっているか知るためには、全国調査は参考になる。ただし、選挙結果の予測には必ずしも有効ではない。

たとえば2016年には、民主党のヒラリー・クリントン氏が支持率でリードし、トランプ氏より300万票近く多い票を獲得した。しかし、それでもクリントン氏は敗れた。アメリカの大統領選には「選挙人団」という仕組みがあり、州の人口ごとに割り振られたこの選挙人をどれだけ獲得できるかが、大統領を決めるからだ。

この仕組みがあるため、国全体で最も多くの票を獲得したからといって、選挙に勝てるとは限らない。

この点には留意が必要だが、バイデン氏はほぼ1年近くずっと、全国的な世論調査ではトランプ氏に対してリードしてきた。ここ最近の支持率は50%前後で、10ポイントの差をつけることも時にはあるが、投票日までにはまだ2カ月以上ある。


対照的に2016年の大統領選では、世論調査の結果はこれほど明確ではなく、投票日が迫るとトランプ氏とクリントン氏の支持率の開きはわずか数ポイントに過ぎなかった。

どの州が勝敗を決めるのか

クリントン氏が2016年に思い知ったように、アメリカの大統領選では獲得する票の総数よりも、どの州で票を得るかの方が大事だ。

ほとんどの州はほぼ常に、同じような傾向で投票する。つまり、どちらの候補が勝つか分からない、両候補に勝てる可能性がある州というのは、実はごくわずかだ。大統領選の行方を決めるのは、いわゆる「激戦州」と呼ばれるこの一握りの州なのだ。


大統領候補に直接投票するのが選挙人だ。その人数は、州の人口ごとに割り振られる。選挙人の総数は538人。つまり、候補が勝つには270人の選挙人の票が必要となる。

特に人口が多く、よって選挙人の数も多い激戦区では、両陣営の選挙運動が特に活発になる。

激戦州でリードしているのはどちら

現時点の世論調査では、バイデン氏が激戦州で有利に見えるものの、投票日まではまだまだあるし、事態が一気に急変することもある。特に、トランプ氏が関わることとなると。

世論調査によると、バイデン氏は工業地帯のあるミシガン、ペンシルヴェニア、ウィスコンシンの各州で大きくリードしている。いずれもトランプ氏が2016年に、得票率の差わずか1ポイント未満で獲得した州だ。この3州での勝利が、トランプ大統領の実現に大きく寄与したと言われている。


しかし、トランプ陣営が最も気にすることになるのは、2016年に圧勝した州の動向だろう。4年前には8~10ポイント差をつけて勝ったアイオワ、オハイオ、テキサスの各州で、トランプ氏は今のところバイデン氏と激しく競り合っている。

トランプ氏は7月に選挙対策本部長を交代させた。また、「にせの世論調査」と繰り返し発言している。それは世論調査の現状を反映した動きだと思えば、説明がつくかもしれない。

とは言うものの、ブックメーカーたちはまだトランプ氏を見限ってはいない。最新のオッズ平均によると、11月3日にトランプ氏が勝つ確率は50%近く。つまり、今から11月3日までに情勢が大幅に変化すると見ている人が、それだけいるということになる。

しかし、政治アナリストたちは、もっと慎重だ。有名な米政治統計分析サイト「FiveThirtyEight」は、「バイデン氏が有利と見られている」と書いている。英誌エコノミストは、バイデン氏が「おそらく」トランプ氏に勝つだろうと予測している。

新型コロナウイルスの影響は

今年初めから、新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で大問題になっている。そうした中でアメリカでは、トランプ大統領の対応をどう評価するかが、支持政党によってあからさまに分かれている。

3月半ばに国家非常事態を宣言し、感染対策に500億ドルの連邦政府予算を充てると発表した時点で、トランプ氏の支持率はピークに達した。主要調査会社イプソスによると、この時点のトランプ氏支持率は55%だった。

しかし、この時点で大統領を支持したかもしれない民主党支持者はその後、こぞってトランプ氏批判に転じた。一方で、共和党支持者はその後も依然として、自分たちの大統領を支持し続けた。


ただし、その後の直近データを見ると、南部や西部で感染が再び広がるに伴い、トランプ氏の支持者でさえ大統領の対応を疑問視し始めたかもしれない。共和党支持者による支持率は、7月初め時点で78%に下がっている。

新型ウイルスについてトランプ氏の発言が二転三転するのは、これが理由なのかもしれない。トランプ氏は、ウイルスはそのうち「ただ消えてなくなる」と言っていたはずが、「事態は改善する前に悪化する」と警告したりしている。

マスクについても、長いこと公の場所で着けなかったものの、7月になってついにマスク姿で報道陣の前に現れた。マスクは有効なので、すべての国民にマスクをして「愛国心」を示すよう呼びかけるなどしている。

ワシントン大学の研究チームによるシミュレーション・モデルは、新型ウイルスによるアメリカでの死者数は投票日までに、26万人を超えているだろうと予測している。

トランプ氏は、ワクチンの緊急使用へ向けて政権が推進する「ワープスピード作戦」が奏功し、「10月サプライズ」をもたらしてくれると期待しているかもしれない。

しかし、この「ワープスピード作戦」の主任顧問は、11月3日の投票日より前にワクチンが国内で広範囲に国民に対して使えるようになっているかどうかについて、「きわめてあり得ないが不可能ではない」と話している。

世論調査は信頼できるのか

世論調査は信用できないと切り捨てるのは簡単だ。2016年には間違えたじゃないかと。トランプ氏もしばしばそう言う。けれども、これはそっくりそのまま本当だというわけではない。

4年前、ほとんどの全国調査はクリントン氏が数ポイント差でリードしていると示していた。これが間違っていたというわけではない。実際に、得票数でいえばクリントン氏の方が300万票、多かったのだから。

確かに2016年の調査各社にはミスもあった。特に深刻だったのは、大学を卒業していない有権者の動向を正確に把握できていなかった。このため、いくつかの主要激戦州でトランプ氏が実は優勢だという状態が、選挙終盤になるまで把握されていなかった。ほとんどの調査会社は、この欠点をすでに修正している。

しかし今年は、新型ウイルスのため例年よりも不確定要素が多い。新型ウイルスは経済に影響しているし、有権者の投票にも影響するかもしれない。そのため、投票日までまだ2カ月以上の現時点では、あらゆる世論調査の結果はそれなりに疑いながら受けとめる方がいい。

(英語記事 US election 2020 polls: Who is ahead - Trump or Biden?