上西小百合(前衆院議員)

 インターネットに会員制交流サイト(SNS)。これらの便利なツールは、今や私たちの生活に深く浸透している。

 これさえあれば、気楽に外出できないコロナ禍でも自宅にいながら何でも買い物ができるし、観光地の動画を見ながら旅行に行った気分にもなれる。さらには家にいながら家族や友人、見知らぬ人とも交流できて、ニュースだって自分で確認しなくても、どんどん送られてくる。

 新しいものは苦手だと言っていた人々も、6月まで導入されていたキャッシュレス決済のポイント還元ができると知れば、スマートフォン決済アプリを使い始めたりと、随分ネットに慣れ親しんできている。もはや「高齢者はネットに疎い」と言われていたのも昔の話だ。

 そしてどんな世代であろうと、スマホやパソコンを開けば、いや応なしに膨大な情報の波に乗せられる。中にはネットニュースにとても精通し、私に会うと「こんなニュース見たよ」と親切に教えてくれる人もいる。

 だが時折、その内容が何のことかさっぱり分からず「どのニュースですか」と見せてもらうと、出典不明の情報サイトだったりすることがある。そして「こんな真偽不明なものを信じてしまうのだな。ネットには正しい情報も間違った情報も同列に並んでいるから、危険だな」と複雑な気持ちになる。

 現代はまごうことなき情報過多時代だ。新聞社やテレビ局でなくても、個人が不特定多数に向けて瞬時に情報を発信することができる。利用方法さえ間違えなければ、これほど便利なツールはないだろう。

 実際、大阪では親から虐待を受けている子供が密かにその様子を録画し、SNSに投稿したことで事態が発覚、救出されたこともあった。尊い命を守ったネットとSNSの素晴らしい一面だ。

 しかし、非常に残念なことに、SNSの影響で自らの尊い命にピリオドを打ってしまうケースも、近年非常に多く耳にするようになった。友人からSNS上で悪口を言われた子供たちが精神的に追い詰められ自殺してしまった例や、最近では芸能人への誹謗(ひぼう)中傷が取りざたされている。
※写真はイメージ(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージ(ゲッティイメージズ)
 例えば、日本でも高い人気を誇った韓国の歌手グループKARAの元メンバーであるク・ハラさんや、女子プロレスラーの木村花さん、俳優の三浦春馬さん。どなたも活躍されていた最中でありながら、SNSやニュースサイトへのいわれなき悪質な書き込みが続いていたことに悩んでいたとされている。

 何よりも尊く、かけがえのない「命」がこれほどまでに簡単に奪われていいはずがない。

 現代は不景気が続き、人間関係や生活面でも生きづらさを感じる人が多いストレスフルな社会ではある。しかし、その発散の一環で、匿名で書き込めることをよいことに誹謗中傷を行い、安易な考えで人を傷つけようとするなど決してあってはならないし、そのような人々を許してはならない。

 自分で言うのもなんだが、私こそ、おそらく過去一番と言っていいほどにSNSなどでめちゃくちゃな誹謗中傷を受けた一人であろう。