2020年08月13日 12:17 公開

香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで逮捕され保釈された、香港メディア界の大物で民主活動家の黎智英(ジミー・ライ)氏(71)がBBCのインタビューに応じ、若い抗議行動者は今後「もっと用心」する必要があると注意を促した。

黎氏は12日、BBCワールド・サービスの番組ニューズアワーに出演。逮捕は「ほんの始まり」だとし、香港の自由のための「長い闘い」が控えていると述べた。

黎氏は外国勢力と結託した疑いがあるとして、他の民主活動家9人とともに10日、香港の警察に逮捕された。香港市民らには、中国政府が国安法を使って、香港の民主活動家やメディア関係者に対する広範な弾圧に乗り出すのではないかとの不安が高まっている。

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黎氏の経営する新聞社・蘋果日報(アップルデイリー)が数百人の警官による家宅捜索を受けたことも、多くの市民に衝撃を与えた。

黎氏は12日未明に保釈された。


中国の国営メディアは、黎氏の逮捕を歓迎していた。黎氏を「暴動支持者」と呼び、発行する新聞などで「長年にわたって憎悪をあおり、うわさを広め、香港当局と中国本土を中傷してきた」と説明した。

「過激になってはいけない」

インタビューで黎氏は、10日朝に警察が自宅に現れたときは驚いたと説明。逮捕は初めてではなかったが、今回は中国が制定した国安法に基づくものだったことから「以前より恐ろしかった」と述べた。

息子2人も「でたらめの容疑」で逮捕されたという。また、自らの民主活動家としての行動は後悔していないと付け加えた。

「拘束中は眠れなかった(中略)これが自分の身に起こり、さらにつらい目にあうとわかっていたら、私は同じことをしただろうかと考えていた」

「それでも、別のやり方はしなかったはずだ。自分はこういう性格なので」


さらに、国安法によって活動家は危険が増したと指摘。抗議行動者らに対し、「香港の法の支配と自由を守るため、抵抗を示す際にはもっと用心」する必要があると警告した。

「私たちは抗議行動において、より注意深く、創造的にならなくてはいけない(中略)以前のように過激にはなれない。若者は特にそうだ。過激になるほど、闘いが短いものになってしまう」

「頭を使い、耐えなくてはならない。長い闘いだからだ」

黎智英氏はどんな人

黎氏の資産総額は10億ドル(約1060億円)以上とされる。

服飾産業で成功した後、メディア業界に参入し、蘋果日報を創刊。香港自治政府や中国政府に批判的な報道を展開した。

蘋果日報は昨年、香港の新聞の中で、販売部数とオンライン購読者数の両方で1位だった(香港中文大学調べ)。

昨年夏から香港で本格化した民主派デモでは、黎氏は全面的な支援を表明し、自らも参加した。

蘋果日報の持ち株会社は今月11日、株価が4倍に跳ね上がった。黎氏の逮捕を受け、香港市民らは同氏に対する支援行動として、同紙と同社株を購入した。

他に逮捕されたのは

10日には、黎氏の同僚らと息子2人も逮捕された。

さらに、著名な若手活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏、英ITVニュースと仕事をしているフリーランス記者のウィルソン・リ氏、活動家アンディ・リ氏も逮捕された。

周氏は11日遅くに保釈され、「政権が政治的な反対者を抑え込むために国安法を利用しているのは明確だ」と記者団に述べた。

(英語記事 Arrested HK tycoon tells protesters to be 'careful'