5月にワシントンポストに掲載された全米民主主義基金などの分析によると、警察の残虐行為と人種差別に対する全国的な抗議の中で、デモの多くで主導権を握った若い黒人有権者はバイデン氏に懐疑的だ。主要な結果を整理すると、以下のようになる。

・65歳以上の黒人有権の91%がバイデン氏に投票

・18~29歳の黒人有権者の68%がバイデン氏に投票

・18~29歳の黒人有権者の13%はトランプ氏に投票

 また、6月に実施されたワシントンポストと大手リサーチ会社イプソスの世論調査では、黒人有権者の92%が11月にバイデン氏に投票する意思を示している。その理由については、ほぼ半々に分かれている。50%が主にトランプ氏に反対しているためであるとし、49%は主にバイデン氏を支持すると回答している。

 つまり、特に若い黒人のバイデン氏支持は意外に脆弱で、せいぜい反トランプ感情の受け皿でしかない。ハリス氏が副大統領候補になってもあまり変わらないかもしれない。

 ハリス氏が副大統領候補に指名される前日の8月10日に行われた政治ニュースメディア、ポリティコの世論調査では、バイデン氏はいまだトランプ氏を9ポイントリードしているが、回答者の9%が態度を未定としている。そしてウェスト氏の支持率は2%だ。ただ、2%の支持を第三候補に獲られたことで、ゴア氏もヒラリー氏も、あのような負け方をしている。しかも人気ラッパーだけに20代のウェスト氏に対する支持率は6%もある。こうなると、若い黒人有権者は、ウェスト氏が州内で候補者登録した場合、バイデン氏ではなくウェスト氏に投票する可能性が低くない。

 過去の大統領選を振り返ると、2004年に再選を目指したジョージ・W・ブッシュ氏が、黒人票の11%を獲得して勝利。16年のヒラリー氏に対して、トランプ氏は黒人票の8%で勝利した。

 こうした中で、調査会社のラスムッセン・レポートは7月のホワイトハウスウォッチで、黒人の21%がトランプ氏の再選を支持していると報告。5~6月の各種調査会社の世論調査でトランプ氏の黒人支持が10%を割り込んでいたが、これが「異常」だったことが分かった。
ホワイトハウスでトランプ米大統領(手前)と抱き合うカニエ・ウェスト氏=2018年10月(ゲッティ=共同)
ホワイトハウスでトランプ米大統領(手前)と抱き合うカニエ・ウェスト氏=2018年10月(ゲッティ=共同)
 異常だったというのは、トランプ氏に対する黒人の支持率は、そもそも20%程度あり、コロナ不況や今回の黒人暴動で一時的に下落していただけなのだ。減税による景気刺激に影響された黒人雇用の増大や、間違いを犯した黒人の社会復帰支援、そして学校民営化による黒人の子供に合った教育など、トランプ政権による改革は黒人の20%近い支持を得ている。

 この20%という数字は、共和党の大統領としては、異例の高い黒人支持率だ。ちなみに、民主党候補は95%の黒人票が獲得できなければ当選しないとされている。