杉山崇(神奈川大人間科学部教授)
麻生マリ子(家族心理ジャーナリスト)

司会・対談構成:梅田勝司(フリーライター、編集者、「PressRoom.jp」記者)

 東京都だけでなく、首都圏や近畿3府県では「第3ステップ」に進んでからほどなく、感染者が増加した。これを受けて、各都道府県では独自に検査を強化したり、感染対策の呼びかけを行った。飲食店の中には、東京で「夜の街」がクラスター扱いされたことから、夜の営業を自主的に自粛して、昼のランチ・弁当営業だけに戻した店もあるという。

 さらにその後、東京都では感染拡大警報が出され、8月末まで酒類を提供する飲食店などに対する午後10時までの時短営業要請が出された。全国でも新規陽性者が拡大傾向にあり、独自に緊急事態宣言を出している県もある。

 このように、新型コロナ禍の終息が見えない中、どの飲食店も自粛を余儀なくされたことで、資金はギリギリだ。こうした状況だけに、飲み会や会食が気軽に楽しめる日が戻るには時間がかかりそうだ。

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 梅田 人は夜遊びや会食をしないと、どうなってしまうんでしょうか?

 杉山 人によりますけど、好きなことができなくなると、生きるのがつまらなくなっちゃいますよね。気が紛れないので、嫌なことばっかり考えてしまう。

 人と会うことは、とても強力な刺激になります。心理学では「ディストラクター」と言いますが、気を紛らわせる刺激を指します。何かに集中して考えることを「ディストラクトする」という使い方を心理学者はしています。

 時々、気分をディストラクトしないと、嫌なことばかり考え続けてしまう。人間はそのように作られているのです。
都庁での会見で「感染防止徹底宣言」のステッカーを掲げる小池百合子都知事=2020年7月(宮崎瑞穂撮影)
都庁での会見で「感染防止徹底宣言」のステッカーを掲げる小池百合子都知事=2020年7月(宮崎瑞穂撮影)
 心はリスクのセンサーが原点にあって、リスクのデータベースがあった方がいいとなり、記憶というものが存在している。だから、ついつい嫌なことばかり、特に自分について嫌なことをよく考えてしまうんです。そして自己価値を疑い始め、「インポスター症候群」と呼ばれる状態になります。そこから、うつ病になってしまう可能性が生じる。

 では、嫌なことからディストラクトされるためのポイントは、人間の心理が最も反応するのは人間だということです。人と会う刺激が人に一番影響を与えて活性化してくれるんです。実際、人から刺激を受けることって結構ありますよね。