2020年08月17日 13:02 公開

大統領選の結果をめぐる抗議が続く東欧ベラルーシで16日、数万人が首都ミンスクに集結し、6期目当選を宣言した現職のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領(65)の退陣を求めた。大規模ストライキの実施も予想されている。一方、大統領の支持者集会は数千人規模にとどまった。

ベラルーシで9日に投開票された大統領選では、1994年から実権を握ってきたルカシェンコ大統領が6期目当選を決めた。中央選挙管理委員会によると、ルカシェンコ氏の得票率は80.1%、対立候補のスヴェトラーナ・チハノフスカヤ氏(37)は10.12%だった。

しかし、この選挙結果は不正だとの批判や、選挙後の抗議デモでの警察の暴力に対する怒りが高まっている。

現在はリトアニアに脱出しているチハノフスカヤ氏は、自分は実際には60~70%の票を得たと主張している。

こうした中、ミンスク中心部で16日に「自由のための行進」が行われた。野党代表たちは、大規模ストライキの実施を呼びかけている。

一方、ルカシェンコ氏も同日に数千人規模の支持者集会を開いた。反対派を「ならず者」と非難し、国と独立性を守るよう支持者に求めた。

9日の大統領選後、警察当局は抗議行動に暴力で対応しており、これまでに約6700人が拘束された。拷問を受けたとの証言もある。

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選挙やり直せば国が「死ぬ」

親政府派の集会には約3万1000人が参加したと、地元メディアは報じた。しかしベラルーシ内務省は参加者は6万5000人近かったと推定した。

複数報道によると、国有部門の労働者が親政府派集会への参加を余儀なくされた。参加しなければ失職する恐れがある。数日間にわたり、複数の国営工場の労働者はストライキを起こし、その多くは大統領に反対する行進に加わっている

BBCのウクライナ・キーウ特派員、ジョナ・フィッシャー記者は、同様のストライキが今週も予定されており、こうした動きがルカシェンコ大統領への圧力になっていると指摘する。

ルカシェンコ氏は支持者に対し、自分は集会は好きではないし、誰かに擁護してもらう必要もないと語った。また、助けを求めなければならなかったのは自分のせいではないと述べた。

ルカシェンコ氏は、大統領選のやり直しを求める声を一蹴し、そんなことが起きればベラルーシは「国家として死ぬ」だろうと述べた。

「あなた方は、自分たちの国や独立、妻や姉妹、子どもたちを守るために、四半世紀ぶりにここへやって来た」と、ルカシェンコ氏は述べた。

また、今回押さえ込みに失敗すれば、反政府派は「ネズミのように穴から這い出てくる」だろうと付け加えた。

「これが終わりの始まりだ。ウクライナや他の国のように、ひざまずいて祈ることになるだろう」

ルカシェンコ氏は隣国ポーランドやリトアニアでの北大西洋条約機構(NATO)による軍事演習に懸念を示し、西側諸国の軍事同盟を激しく批判した。

NATO側は同地域での軍備増強を否定した。

2014年にロシアが一方的にウクライナ南部のクリミア半島を併合した際、NATOはイギリス、カナダ、ドイツ、アメリカが率いる部隊をバルト三国へ派遣したことがある。

ロシアが安全保障上の援助に合意

大統領選をめぐる混乱が続く中、ルカシェンコ氏はロシアのウラジミール・プーチン大統領に助けを求めた。

ルカシェンコ氏によると、プーチン氏はベラルーシが外部からの軍事的脅威を受けた場合に、包括的な援助をすることで合意したという。

両首脳は16日に2度目の協議を行った。その中で、ロシア政府は「ベラルーシの状況について、同国が外部から圧力を受けていることを考慮して」話し合ったとしている。

プーチン氏は、ロシアは「必要であれば、集団軍事協定に従って」ベラルーシを支援する準備ができていると、ルカシェンコ氏に伝えた。

チハノフスカヤ氏の呼びかけに22万人が集結

ニュースサイトTut.byによると、ミンスク中心部にある第2次世界大戦の英雄都市記念碑近くには、ルカシェンコ氏に反対する約22万人が集結した。

これは、ベラルーシ全土で平和的な抗議を行うよう求めたチハノフスカヤ氏に応えたもの。

同氏は選挙結果について不服を申し立てるため、10日に選挙管理委員会を訪れたところ、7時間にわたって拘束された。その後、隣国リトアニアへ脱出した。

チハノフスカヤ氏の選挙陣営メンバーだったマリア・コレスニコワ氏は16日、「あなた方は素晴らしい、愛しています」と群衆に語り、当局や安全保障担当者、裁判官らにこう訴えた。

「これがラストチャンスだ。善人と国民の味方をしてください。私たちが多数派だ。私たちには力がある」

西部ブレストでは、市長が演説しようとした際に抗議者からブーイングを受けた。また、南東ホメリでは、デモ隊が旗竿から国旗を外し、赤と白の旗を掲げた。この旗は、1991年にベラルーシが独立国となった際に使われていたもので、現在はルカシェンコ政権への抵抗を示すシンボルとして使われている。

ベラルーシのサッカー選手イリヤ・シュクリン氏は、ルカシェンコ氏が退陣するまで母国のためにはプレーしないと、インスタグラムで発表した。その後、所属するCSKAモスクワでの初ゴールを決めた。

(英語記事 Strikes expected in Belarus after mass protests