日本のテレビ局は基本、放送法や電波法などによる免許制の下で「電波利権」が守られ、大きな収益が保証されてきた。だから、割高に思えるギャラであっても許されてきたわけだ。

 ところが、インターネットの普及という時代の波にテレビも押され始め、ついには広告費もネットに首位を明け渡すほどのビジネスモデルの変化をもたらし、新型コロナ禍がダメを押した格好だ。背に腹はかえられなくなった各局も、どこかで区切りを付けることを余儀なくされている。

 7月末、タレントの上沼恵美子が放送25年を迎えたばかりの長寿番組『快傑!えみちゃんねる』を放り投げるように突然終わらせてしまったのも、例外ではなかったといえるだろう。

 一部では、他の出演者とのトラブルが原因のように伝えられているが、筆者が関係者から聞いた話では「番組の将来についての話を切り出したところ、上沼さんの逆鱗に触れた」というものだった。この先、番組の終了やリニューアルにあたって何らかの提案をしたが受け入れてもらえず、「だったらすぐ辞める」となってしまったのではないか。

 安藤も5年前に夕方の報道番組『スーパーニュース』の終了が取り沙汰された際、経費削減のあおりを受けて「BS番組に移るらしい」などという噂が立った。このときは、さすがにフジ報道の功労者だったこともあり、新番組『グッディ!』へのスライドにとどまった。

 これは報道に限らず、あらゆるジャンルの番組で見られる傾向だ。お笑い芸人やジャニーズアイドルでも、ギャラの適正化を促すように「高いベテラン」より「若いタレント」を起用する話があちこちで聞かれるようになった。安藤にしても「お役御免」の判断を下されたというより、方向性の変化といえる。
ABCラジオ「上沼恵美子のこころ晴天」の放送を終え、車で朝日放送を出るタレントの上沼恵美子=2020年7月27日
ABCラジオ「上沼恵美子のこころ晴天」の放送を終え、車で朝日放送を出るタレントの上沼恵美子=2020年7月27日
 約2年前、筆者が『グッディ!』に出演した際に目の当たりにしたのは、安藤の「番組采配」の妙だ。台本に頼ることなく臨機応変に進める姿に、さすが33年にわたってフジの報道・情報番組で一線を張ってきた凄みを感じた。このように、ベテランタレントのスキルには他に代えがたいものがあるから、ギャラなどの条件さえ合えば、活躍の場はあるだろう。

 ただ、テレビ界では、ギャラをいきなり半額に値下げして交渉するような習慣がないため、下手をすると突然画面から消えて、一切姿を見なくなることもある。最近は大手プロダクションから独立して個人事務所を設立する芸能人も増えているだけに、直接的な条件交渉の方がやりやすいタレントなら生き残れるかもしれない。

 それも無理なら、ネット番組やユーチューブで最後の勝負に出るということもあるだろう。ただ、ネット番組はテレビと違って成果主義の傾向がより強いため、プライドの高い芸能人ほど勝負するには勇気が必要になることを忘れてはならない。