2020年08月20日 15:01 公開

11月3日の米大統領選に向けた野党・民主党の全国党大会3日目の19日、カマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州選出)が副大統領候補の指名を受諾した。アメリカの主要政党から初めて、有色人種の女性として副大統領候補になった。

指名受諾演説でハリス氏は、ドナルド・トランプ大統領の「指導力の失敗」のせいでアメリカ人が「生命や生活を失った」と厳しく糾弾した。

また、ハリス氏に先立ち演説したバラク・オバマ前大統領は、トランプ氏が大統領の立場を「リアリティーショー」のように扱っていると非難した。

これに対しトランプ大統領は、ツイッターや記者会見で2人の発言を批判した。

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新型コロナウイルス対策のためほとんどが録画や中継で行われている異例のバーチャル党大会3日目には、家庭内暴力や性暴力、発砲事件などの被害者が登場し、被害者への共感力が強いとされ、対策強化を掲げるジョー・バイデン大統領候補への支持を表明した。2011年に発砲事件で頭部を撃たれたガブリエル・ギフォーズ元下院議員は、「以前は言葉を発するのは簡単でした。今では話をするのに苦労します。けれども私は声を失っていません。アメリカは、私たちが全員が声を上げることを求めています。言葉を見つけるのがどれほど大変でも」と呼びかけた。

前回大統領選で民主党候補だったヒラリー・クリントン元国務長官はビデオで、自分がトランプ氏に敗れた状況を念頭に、大統領選では相手より300万票多く獲得しても負けることがあるのだから、有権者は後悔しないようなるべく早く投票するよう強調した。

これは皆さんのこと」とハリス副大統領候補

ハリス上院議員はこの日、共にホワイトハウス奪還を目指すバイデン氏の地元デラウェア州ウィルミントンで、ほぼ無人の会場から指名受諾演説をした。

カリフォルニア州で地方検事や州司法長官などを歴任したハリス議員は、ジャマイカ出身の父とインド出身の母の間に同州で生まれた。演説では、こうした自分の生い立ちをはじめ、家族や友人を大事しているという価値観を紹介した後、バイデン氏の政治家としての能力や人間としての優しさをたたえた。

アメリカには「外見がどうだろうと、出身がどこだろうと、誰を愛するとしても、誰もが歓迎される、愛されるコミュニティー」であってほしいと、自分とバイデン氏は共に願っていると述べた。また、「細かい全てのディテールでは合意しないとしても、すべての人間は無限の価値がある存在で、思いやりと尊厳と敬意に値する存在なのだという、根本的な信念で一致団結している国」であってほしいと強調した。

また、今のアメリカは「失われた命を悲しみ、仕事を失ったことを悲しみ、安定を失ったことを悲しんでいる」が、それにもかかわらずトランプ大統領は「私たちの悲劇を政争の具にして利用する」と批判した。

「私たちは曲がり角にさしかかっています」と続け、「たえまない混乱に、私たちは途方に暮れています。(トランプ政権の)無能ぶりに、恐怖を感じます。あの無神経ないい加減さに、自分は孤独だと感じてしまいます。本当に大変です」と述べた。

一方で、今のこの状態に甘んじるべきではないと言い、「今までとは違うやり方で、もっと良いやり方で、大事な職務を果たす大統領を、選ばなくてはなりません」と、バイデン氏への支持を呼びかけた。

ハリス氏はさらに、新型コロナウイルスの被害が有色人種に特に集中していることや、アメリカ各地で人種差別に抗議するデモが相次いだことにも言及。「人種差別にワクチンはありません。私たちが、なんとかしなくてはならないんです」と強調した。

「大事なのはジョーや私ではなく、これは皆さんのことなんです」

その上で、将来この時代を振り返り、子供や孫たちに「未来が危なかったあの時、どうだったか聞かれたら、自分どう感じたかだけでなく、自分が何をしたか、答えられるように」なろう」と締めくくった。

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オバマ氏「民主主義を枯らさないで」

ハリス氏の前には、オバマ前大統領がフィラデルフィアの独立戦争博物館から生中継で演説。トランプ氏が大統領として能力不足で、大統領の職を「リアリティーショー」のように扱っていると痛烈に非難した。大統領経験者が現職を表立って強い調子で批判するのはきわめて異例だが、オバマ氏はここ数年、徐々にトランプ氏への批判を強めている

オバマ氏は、「(トランプ氏は)きちんと仕事をすることに何の関心もない。共通認識を探ることにも何の関心もない。大統領の絶大な権限を使って助けようとするのは、自分自身と自分の仲間だけだ」と批判した。

「欲しくてたまらない注目を集めるため、大統領の職をまたひとつリアリティーショーのように扱う、そのことにしか関心がない」

「トランプは次第に大統領らしくは、ならなかった。あの人には、無理なので」

オバマ氏はこうたたみかけ、その結果「17万人のアメリカ人が死んでしまった」と非難。トランプ政権の4年間の結果、「この国の中の最悪の衝動が解き放たれ、世界各地におけるこの国の評価はひどく低下し、この国の民主主義を支える制度はかつてないほど危機にさらされている」と述べた。

オバマ氏は、バイデン氏とハリス氏が共にいかに民主主義を重視しているか強調した上で、トランプ政権は有権者の無関心やシニシズム(冷笑)を頼りにしているのだと指摘。

「勝つために必要なら、この政権は民主主義を破壊します」

現状が続くようなら「民主主義は枯れて、やがて民主主義などなくなってしまう」と危機感を示し、「(政府に)皆さんの力を取り上げさせないでください、皆さんの民主主義を取り上げさせないでください」と有権者に呼びかけた。

トランプ氏は大文字で連続ツイート

オバマ氏のこの演説やハリス氏の演説の最中、トランプ氏はツイッターで大文字のみで「彼は僕の選挙戦をスパイしていて見つかった!」、「だったらなんで最後までジョーを支持しなかった」、「前は彼を人種差別主義者と呼ばなかったか? 前は彼を無能と呼んでいなかったか」と、ツイートを連投していた(大文字は強調を意味する)。

トランプ氏はオバマ政権が2016年大統領選中に自分の陣営を盗聴していたと繰り返し主張しているが、証拠による裏付けはされていない。ハリス議員は予備選中に、バイデン氏がかつて差別的な議員とも協力していたり、人種隔離を解消する法案に賛成しなかったことなどを批判したが、バイデン氏を差別主義者と呼んではいない。

また、オバマ氏の演説が始まる前の定例記者会見ではオバマ氏について「惨状を残していった。いくつもの馬鹿げた取引を残していった」と批判した。

「どれだけひどかったか、どれだけ無能な大統領だったか見るといい。本当に無能でひどかった」

「オバマ大統領は良い仕事をしなかった。自分が今ここにいるのは、オバマ大統領と(副大統領を務めた)ジョー・バイデンのせいだ」

「自分は以前の生活を気に入っていたが、2人の働きがあまりにひどかったら、今こうして自分は皆さんの前に大統領として立っているんだ」

トランプ大統領は来週行われる共和党の党大会で、同党からの大統領選候補の再指名を正式に受ける予定。

(英語記事 Kamala Harris Attacks Trump "failure of leadership / DNC 2020: Obama blasts Trump's 'reality show' presidency / DNC 2020: Kamala Harris blasts Trump 'failure of leadership'