最近の吉村氏は、TBS系ドラマ『半沢直樹』で半沢の宿敵、大和田が述べていた「部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下の責任」を体現しているようで、まさに本性が見えたと言っても過言ではない。

 部下である職員はただでさえ、維新から「給料が高い。ボーナスも満額だし、頑張らなくても給料がもらえる」と一方的に悪のレッテルを張られた上に、維新の引き起こした騒動の対応をさせられている。これでは職員のストレスはたまっていく一方だ。彼らも一人の人間であり、このままでは我慢強い職員たちの怒りが爆発したときが、維新政治の終わりであろう。

 市民が首長や議員の上っ面しか見られないのをよいことに、吉村氏は恐らく今後もこの路線で突っ走るのだろう。しかし、できない上司に仕える職員たちのことを考えると、同情の念を禁じ得ない。

 市民に最悪の事態をもたらさぬよう尽力するのではなく、自分が「ヒーロー」でありたいという願望を満たすことを最優先としているのが今の吉村氏だ。府民の運命を握る重責ある立場でありながら、行き当たりばったりで受けのよさそうなこと何の根拠もなく発信する。だが結果としてそれがたたり、今では化けの皮が剝がれつつもある。

 以前、私は連載で「維新は検証をしない」と述べたが、維新や吉村氏の発表した対策が、実際にはどのような効果をもたらしたか検証されることなく、これまではうやむやにして逃げ切ることができた。しかし、今回の新型コロナのように一つの事案が長期にわたることはまれなため、今回はそうもいかないであろう。

 そういえば今年4月、吉村氏は新型コロナの予防ワクチンについて「大阪府と市がしっかりとコーディネイトし、早ければ7月から治験を開始し、9月から実用化を図りたい」と述べていたが、その後何の音沙汰もない。府民だけでなく、国民の期待を集めるだけ集めておきながら、その後の報告もなくあっさりと裏切ることができてしまうのだ。

 また、大阪府での新型コロナウイルスの重症者数が全国最多になったことに関しても「大阪は、できるだけ早めに気管切開して、人工呼吸器をつけて命を救う治療を優先している」と発表したこともあった。
新型コロナウイルス専門病院となった大阪市立十三市民病院の外観=2020年6月30日、大阪市淀川区(鳥越瑞絵)
新型コロナウイルス専門病院となった大阪市立十三市民病院の外観=2020年6月30日、大阪市淀川区(鳥越瑞絵)
 しかし、大阪だけが本当にそうしているかというデータもなく、大阪府医師会の茂松茂人会長も「どこでも同じ治療を提供しています」と反論を行った。

 吉村氏は「ヒーローとして扱われるためなら、市民の感情など踏みにじっても構わない。うそも方便だ。何をしたって、どうせ府民は維新を応援するんだろ」と言わんばかりだ。平時はそんなうぬぼれが大目に見られたとしても、緊急事態には許されることではない。

 「イソジン会見」では「ウソみたいなホントの話」などと緊急事態下での発言とは思えない寒いギャグを飛ばしていたが、「ウソみたいだったけど、やっぱりウソだった話」を気まぐれで言って、市民が混乱するような発言は止めていただきたい。

 未曽有の時代だからこそ、自分より市井の人々を大切にしてくれる人が求められる。この言葉を理解できる人だけが一生政治家でいられるはずなんですが、吉村氏は本当に理解できているんでしょうか。