
2020年08月24日 11:31 公開
旅客機のトイレでは、なるべくあちこちに手を触れたくない――。そう思っている人は多いだろう。新型コロナウイルスの感染症COVID-19の大流行で、その感覚はいっそう強まっている。
そうしたなか、全日本空輸(ANA)はひじで開けられるドアノブの採用を検討中だ。乗客が手を触れずにトイレを利用できることを目指している。
8月末まで東京・羽田空港で試験を重ねており、集まった意見をもとに導入するかどうかを決める。
同社広報は、仕様変更はまだ「試験段階の最初期」と述べた。
センサー式の蛇口も
「ひじドアノブ」は6月中旬、羽田空港で初めて試験された。
航空機内装品の大手ジャムコと全日空が共同開発。2つの別々のパーツを使って開閉する。
1つは、トイレ内でかぎをかけたり解除したりできるスライディングロックだ。
もう1つはドアハンドルで、ドアを開けてトイレから出られる。
全日空の広報によると、一部の旅客機のトイレにはすでに、センサー式の蛇口を導入している。
今回さらに、手を触れずに済ませられる範囲を、ドアの開閉にも広げることを目指している。
当初は足でドアを開ける方法も検討した。しかし、「揺れなどの安全上の理由と、乗客がバランスを失う恐れ」から、これを見送ったという。
新型ドアノブを採用するにあたり、何か規制や旅客機の基準をクリアする必要があるのかは明らかではない。
エレベーターも非接触
米メディアCNBCによると、米航空機エンジニアリング企業ヘイコ・アメリカスも現在、センサー式の非接触型トイレドアの開発を進めている。
ただ、なるべく触りたくないのは、旅客機トイレのドアだけではない。
タイの首都バンコクのショッピングモールは、新型ウイルス対策として、エレベーターの行き先ボタンを足で踏むペダルに変更した。
しかし、米疾病対策センター(CDC)は、新型ウイルスで汚染された表面や物体に触れた手で自分の顔を触ることは、「感染拡大の主な経路とはみなされていない」としている。
CDCは5月に更新した指針で、COVID-19は会話やせき、くしゃみ、呼吸によって生じる飛沫(ひまつ)によって、人から人に「非常にたやすく」広がるとしている。
それでも、CDCは手洗いを奨励し、ドアの取っ手やトイレの蛇口、水飲み場など、大勢がよく触る表面は毎日消毒すべきだとしている。