2020年08月24日 12:12 公開

東欧ベラルーシの首都ミンスクで23日、警察による厳重な警備が敷かれる中、9日の大統領選で6期目当選を宣言した現職のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領(65)に対する大規模な抗議集会が開かれた。大統領選の結果をめぐる抗議デモは2週目に突入した。

ミンスクで取材するBBC記者によると、市内の広場は抗議のために集った数万人で埋め尽くされた。

抗議者たちは大統領選で不正を行ったとして、ルカシェンコ氏の辞任を求めている。

ルカシェンコ氏は騒乱を鎮圧すると誓い、こうした抗議は匿名の「外国の支援を受ける革命論者」のせいだと主張した。

直近の抗議に対する取り締まりでは、少なくとも4人が死亡した。デモ参加者たちは刑務所で拷問を受けたと主張している。

ミンスクで何が起きているのか

幼い子どもを連れた人や高齢者など数万人が23日、ミンスクの独立広場に押し寄せた。その多くはルカシェンコ政権への抵抗を示す紅白旗を掲げ、「自由」や反政府スローガンを唱えた。

https://twitter.com/BBCSteveR/status/1297525985944965121


野党寄りのメディアは、抗議集会には約10万人が参加したと報じている。一方、国営テレビは2万人だったとしている。

独立広場に集結した後、一部のデモ隊は英雄都市記念碑や大統領官邸に向かって移動した。デモ隊は治安部隊による非常線で妨害され、追い払われた。

国営テレビは、ルカシェンコ大統領がヘリコプターで大統領公邸に到着した時の様子を公開した。動画では、防弾チョッキ姿のルカシェンコ氏が自動小銃を手にしているのが確認できる。

同様の抗議デモは、ベラルーシ国内の別の複数都市でも行われた。

こうした中、対立候補のスヴェトラーナ・チハノフスカヤ氏(37)が避難したリトアニアでは、ギターナス・ナウセーダ大統領を含む数千人が首都ヴィリニュスからベラルーシ国境にかけて「人間の鎖」をつくり、ミンスクで抗議する人々との連帯を示した。

エストニアの首都タリンやチェコ共和国の首都プラハでも、人間の鎖が計画された。

1週間前の16日には、ベラルーシの近代史上最大規模の抗議デモが開かれ、数十万人が集結した。ベラルーシ全土の主要工場でのストライキもルカシェンコ氏への圧力を高め続けている。

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1994年から実権を握ってきたルカシェンコ大統領は、9日の大統領選で6期目当選を決めた。中央選挙管理委員会によると、ルカシェンコ氏の得票率は80.1%、対立候補のチハノフスカヤ氏は10.12%だった。

しかし、中立の選挙監視団が呼ばれなかったことから、不正があったのではないかとの声が上がっている。

チハノフスカヤ氏は選挙結果について不服を申し立てるため、10日に選挙管理委員会を訪れたところ、7時間にわたって拘束された。その後、隣国リトアニアへ脱出した。

チハノフスカヤ氏は抗議デモで「最後まで戦う」と誓った。

ルカシェンコ氏の主張は

ルカシェンコ氏は今回の大統領選で公正に勝利した主張し、選挙のやり直しを拒否している。22日には、北大西洋条約機構(NATO)が 「ベラルーシ当局を転覆させて」ミンスクで新たな大統領を就任させようとしていると非難した。

同氏は隣国ポーランドやリトアニアでのNATOの軍備強化に対抗するため、ベラルーシの西側国境に軍を進めているとし、「我が国の領土保全を守る」と誓った。

これに対してNATOは「ベラルーシやほかの国を脅かしてはいない」とし、「この地域で軍備増強は行っていない」と述べた。

「ルカシェンコ政権は「想像上の外部からの脅威について、完全に根拠のない主張をすることで、ベラルーシ国内の問題から何としてでも注意をそらそうとしている」と、リトアニアのナウセーダ大統領は22日にAFP通信に述べた。

ルカシェンコ氏はまた、平和的な権力移譲の実現を目的にチハノフスカヤ氏が設置した、野党調整協議会について、権力を掌握しようとしていると非難している。同協議会メンバーのうち2人は21日に警察から事情聴取を受けた。


<解説>失われた恐怖――ジョナ・フィッシャー、BBCニュース(ミンスク)

ルカシェンコ大統領率いる治安部隊の目と鼻の先で23日、再び大規模な抗議デモが開かれた。

窮地に立たされたベラルーシの大統領は、内務省に「騒乱」を終わらせるよう指示し、「この問題を解決する」と約束していた。しかし結局、抗議者が集るのを食い止める本格的な対策は取られなかった。

独立広場へと続く裏道には、機動隊や軍用トラックが長い列をなしていた。膨れ上がった群衆は、集会は違法だとして解散を促す拡声器での警告を無視。その様子を機動隊らは傍観していた。

これらの抗議デモはゆるやかに組織されたもので、独立広場にはステージも拡声装置もない。つまり、ベラルーシで拘束されずに残る少数の野党指導者たちが、演説できる場はないということだ。

デモ隊はその代わりに「ベラルーシ万歳」や「ルカシェンコは退陣しろ」などと声を上げて行進した。参加するのが怖かったが、今では同じ志を持つ大勢のベラルーシ人に囲まれて安心だと、私に話す人もいた。


(英語記事 Belarus opposition holds mass rally despite ban