2020年08月24日 16:43 公開

ドナルド・トランプ米大統領の広報戦略にかかわり、政権発足当初は政権の「顔」のひとつとしてマスコミに対して発言を続けたケリーアン・コンウェイ上級顧問が23日、今月末に辞任すると発表した。子供たちのためだと説明している。発表に先立ちコンウェイ氏について以前からソーシャルメディアで批判的な投稿をしていた15歳の娘が、親権解除を求めるつもりだと投稿していた。

トランプ氏を称賛し、その政策を擁護してきたケリーアン氏とは裏腹に、夫ジョージ・コンウェイ弁護士はツイッターや米メディアでトランプ氏を激しく攻撃し、最近では再選阻止運動の中心的メンバーになっていた。そのコンウェイ弁護士も同日、政治活動からを身を引き、ツイッターも当面やめるつもりだと発表した。

コンウェイ上級顧問は、辞任を決めたのは「完全に自分の選択」だと声明を発表した

上級顧問は、日本時間25日午前から始まる共和党の全国党大会で登壇する予定だが、辞任決定を受けて、実際に出席するかは明らかになっていない。

コンウェイ上級顧問は共和党系の戦略策定や世論調査のベテランとして、長年ワシントンで活動してきた。2016年大統領選でトランプ陣営に勝利をもたらし、女性として初めて大統領選を成功させた手腕が注目された。政権発足後はホワイトハウスの上級顧問となり、政権内で最高レベルの影響力を持ち続けた。

夫ジョージ・コンウェイ氏も共和党系の弁護士だが、近年ではツイッターでトランプ氏を激しく攻撃。今年に入ってからは、トランプ氏の再選阻止を目的に、同じ共和党の大統領、エイブラハム・リンカーンから「リンカーン・プロジェクト」と名づけた政治運動を、複数の共和党員と共に立ち上げた。トランプ氏を批判するリンカーン・プロジェクトによる数々のビデオは、民主党系のものより効果的だという意見もある。

トランプ氏について妻と夫の意見があまりに食い違っていることについて、これまで様々な憶測が飛び交っていた。それについて質問されるたびに、上級顧問は夫妻で意見が違うのは普通のことと一蹴していた。

今回、コンウェイ上級顧問は辞任を発表した声明で、「この4年間で、比べようのない恩恵を得ることができた」と感謝した。さらに、「(夫ジョージとは)色々なことで意見が合わないものの、何より大事なことについては2人は一致しています。何より大事なこと、それは子供たちです」と述べた。

「子供4人は中学や高校の新学期を目前にした、10代の子供たちです。あと数カ月は自宅にいてリモート学習をします。全国の数百万人の親御さんたちはお分かりのように、子供の『自宅学習』には、今のこの時代と同じで、いつもとは違うレベルの注意と監督が必要です」と、上級顧問は説明した。

コンウェイ夫妻の発表の数時間前には、15歳の娘クローディアさんがツイッターで、「自分の母親が本当に、共和党全国大会で発言するなんて、大ショック。本当に比べようがないくらい、ショック」とツイート。続けて、「正式に親権解除を要求することにした」とも書いていた。

https://twitter.com/claudiamconwayy/status/1297351506543480839?s=20


さらに、「そもそも、うちの母親の仕事が私の人生を台無しにしたのに。自分の子どもたちが何年も苦しむのを見ていたくせに、まだその道を突き進むなんて。自分勝手。何もかも、金と名声のためなんですよ、皆さん」ともツイートした。

https://twitter.com/claudiamconwayy/status/1297352852021665792


加えてTikTokでは「家出の第一段階を開始」とも投稿していた。

クローディアさんは今年春からソーシャルメディアで両親やトランプ大統領をたびたび批判し、その都度話題になっていた。

「代替の事実」

トランプ政権発足から間もなく、就任式に参加した人数についてトランプ氏をはじめホワイトハウスと報道写真が対立した際、大統領報道官が現場写真と大きく食い違う人数を報道陣に話したことが問題視された。これについてニュース番組で質問されたコンウェイ上級顧問は、「あれはalternative facts(代わりの事実)」だったと発言。司会者に強く反論されたほか、多方面から厳しく批判された。

その翌月にはMSNBCの番組で、トランプ政権が主にイスラム教徒が多数を占める国からの移民を制限した政策を擁護しながら、オバマ政権でも「イラク難民の受け入れを6カ月間禁止した」、それは「過激化したイラク人2人がこの国に来て、その2人がボウリング・グリーン虐殺の首謀者だったからだ」と述べ、さらに「ほとんどの人はこのことを知らない。報道されなかったので」と付け加えた。「ボウリング・グリーン虐殺」と呼ばれるような事件は、実際には起きていない。

さらに同年10月には、ホワイトハウス記者室から米フォックス・テレビに出演し、トランプ氏の娘イヴァンカさんのファッションブランドを「買って」と繰り返し発言。これは、ホワイトハウス職員が民間企業や製品を推奨することを禁じる、連邦倫理規定違反だと批判された。

昨年には連邦政府の特殊検察官局(OSC)が、行政府職員による政治活動を禁じる規則に何度も違反したことを理由に、コンウェイ氏の解任をホワイトハウスに勧告していた。

こうした中でもコンウェイ上級顧問はトランプ氏とその政策を擁護し、政権を代弁し続けてきたが、その一方で夫のコンウェイ弁護士は、トランプ氏を「無能」な「差別主義者」などと相次ぎ罵倒してきた。これに対してトランプ氏は、コンウェイ弁護士を司法省に採用しなかったのは自分だと主張し、「救いようのない負け犬」などと攻撃していた。

(英語記事 Kellyanne Conway resigns as senior White House advisor