2020年08月25日 13:29 公開

中国の動画共有アプリ「TikTok」は24日、ドナルド・トランプ米大統領が出した取引禁止令について、米カリフォルニア連邦裁判所で法的措置を開始した。

トランプ大統領は6日、アメリカ企業に対し、TikTokの運営会社ByteDance(バイトダンス)およびメッセージアプリ微信(ウィーチャット)を展開する騰訊控股(テンセント)との取引を45日以内にやめるよう命令。当局は、これらの企業がアメリカのユーザーデータを中国政府に渡す可能性を懸念している。

ByteDanceはこうした疑惑を否定。トランプ政権の決定は国家安全保障ではなく政治的な動機によるものだとしている。

TikTokは現在、アメリカだけで1億人のユーザーがいるといわれている。

TikTokは24日にウェブサイトで公開した声明で、アメリカのデータ保護については政府の懸念を反映して「前例のない」措置を行っていると主張。大統領令は国家安全保障法を誤用していると述べた。

また、大統領令は「本当の国家の緊急事態に基づいておらず、認可された禁止内容も『異例の脅威』を抑止できるものではない」と指摘した。

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トランプ氏は、ByteDanceがTikTok事業をアメリカ企業に売却すれば、アプリを継続できるとしている。また、売却金の一部を政府に納入するよう求めている。

これに対しByteDanceは、「大統領の売却金に関する要求は国家安全保障上の懸念とは一切関わりがない。被告人が法によって定められた適正手続きを原告に示せなかっただけだ」と述べている。

裁判所への提出書類で同社は、「大統領の行動は明らかに、反中路線の活動を進める政治的決定によるものだ」と批判した。

TikTokの広報担当者は売却交渉の進ちょくについて、裁判と「並行」して行われているとしてコメントしていない。

21日には、中国系アメリカ人の団体がテンセントとの取引を禁じる大統領令について別の裁判を起こしている。

短い動画を共有するTikTokは10代の若者を中心に人気で、これまでに世界中で10億回以上ダウンロードされている。

アプリでは、ダンスから国際政治にいたるまでさまざまなトピックの動画が投稿されている。

しかしトランプ大統領は、中国政府がこのアプリを通じてアメリカの連邦職員の居場所の追跡や、脅迫のための情報収集、さらには企業スパイといったことができると主張している。

また、中国企業が開発・運営しているアプリの台頭によって、「アメリカの国家安全保障や外交政策、経済が脅威にさらされている」と述べている。

ByteDanceとの取引を禁じる大統領令には、「このデータ収集を通じ、中国共産党をアメリカ国民の個人的かつ私有の情報にアクセスさせてしまう危険性がある」と書かれている。

トランプ氏は大統領就任以来、中国との貿易戦争を加速させており、今回のTikTokおよびウィーチャットに対する動きも、11月の大統領選に向けた反中運動の一環とされている。

ただし、TikTokを禁止しているのはアメリカだけではない。インドもすでにこのアプリを禁じているほか、オーストラリアも禁止措置を検討している。

(英語記事 TikTok calls Trump ban ‘political’ in lawsuit