2020年08月27日 11:57 公開

警官が黒人男性を背後から複数回銃撃した事件をめぐる抗議デモが続く米ウィスコンシン州ケノーシャで、25日夜から26日未明にかけて銃撃があり、2人が死亡、1人が負傷した。この死傷事件で17歳の少年が殺人容疑で逮捕された。

ケノーシャ警察のダニエル・ミスキニス本部長は26日の記者会見で、25日夜に発生した銃撃事件に絡み、イリノイ州アンティオーク在住の17歳の少年を逮捕したと発表した。

第1級殺人容疑で逮捕されたのはカイル・リッテンハウス容疑者。死亡したのは26歳と36歳で、負傷した26歳は回復する見込みだという。

この事件には、抗議デモ参加者とガソリンスタンドを守っていた武装した男らが関与していたとみられている。

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抗議デモの発端となった事件は23日に発生した。ジェイコブ・ブレイク氏(29)は当時、ケノーシャの路上で車に乗り込もうとした際に、警官から複数回撃たれた。車の後部座席にはブレイク氏の子どもたちが乗っていた。

ブレイク氏は入院先の病院で回復しつつあり、意識はあると家族は明かしている。しかし弁護団は、「奇跡」が起きない限りブレイク氏は再び歩けるようにはならないとしている。

事件後に発生した抗議デモは度々、暴力的になっている。これまでに車両や建物が複数破壊された。

民間人が武装して自警か

ウィスコンシン職業警察協会の広報担当者はBBCに対し、ケノーシャ市内には法執行機関が広範囲に点在しており、かなり手薄だったため、市民やデモ隊らは各々のやり方で自警していたと説明した。

あるソーシャルメディア上の動画では、ライフル銃を持った男性が集団に追われ、地面に倒れた後に集団にむけて発砲しているように見える。別の動画では武装した民間人が複数の商店の外に集まっているのが確認できる。その多くは軍服姿で、商店を守っていると主張していた。

デイヴィッド・ベス保安官は、民間人が法執行機関を支援するのを許可してほしいとの要請が複数寄せられていたと明かした。

「昨夜(25日夜)起きた事が、私が許可を出さない紛れもない理由だ」とベス氏は述べた。また、確信はないとしつつ、17歳の少年が法執行機関の代わりを務めたいとしていたグループに属していたとみていると付け加えた。

ケノーシャで何が起きているのか

ブレイク氏が撃たれてから数時間後の23日夜、数百人が警察本部にむかって行進し、事件に抗議した。また、複数の車両が燃やされた。武装した人物による強盗事件が複数通報されたことから、夜間外出禁止令が出された。

デモ参加者によると、警察と州兵は催涙ガスやゴム弾、発煙弾を使っていたという。

25日夜にも数百人のデモ隊が市内を行進した。ある小規模集団は警察にむかって花火や水が入ったボトルを投げ付けた。警察はゴム弾や催涙ガスで対応した。

連邦政府の支援を受け入れ

ドナルド・トランプ米大統領は26日、ケノーシャに「連邦法執行機関と州兵」を派遣すると明かした。

「我々は町中での略奪や放火、暴力、無法行為は支持しない。私のチームは先ほど、エヴァース州知事との電話を終えたところだ。知事は連邦政府の支援を受け入れることで合意した(ポートランドもそうすべきだ!)」とツイートした。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1298671449968959490

トランプ氏のツイートから間もなく、ウィスコンシン州のトニー・エヴァース知事は、法執行機関の活動支援のために州兵500人の動員を許可したと明かした。

ケノーシャのジョン・アンタラミアン市長は米連邦捜査局(FBI)、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)、連邦保安官およびウィスコンシン州中の警察がすでに、騒乱を鎮めるために対応にあたっていると述べた。

アンタラミアン市長は26日に記者団に対し、「私は今日、2つの目的のためにここにいる。1つ目は、この暴力行為を今後も続けさせるつもりはないと、みなさんにお知らせするため」と述べた。

「そして2つ目は、我々のコミュニティーでの人種問題を解決するために我々が協力し、成功させるとお伝えするためだ」

新たな外出禁止令は午後7時から翌朝7時までで、30日まで続く。

事件をめぐる反応

ブレイク氏の母ジュリア・ジャクソン氏は25日の記者会見で、息子は「生きようと闘っている」としつつ、「暴力や破壊行為が続く限り、息子はまったく喜ばないだろう」と述べた。

11月の米大統領選の野党・民主党候補ジョー・バイデン前副大統領は、黒人男性が再び警察に撃たれたことに「吐き気がする」とし、「法の裁きが下されなければならない」とツイートした。

抗議デモはオレゴン州ポートランドやミネソタ州ミネアポリスなど各地に拡大している。

ミネアポリスでは今年5月、黒人男性ジョージ・フロイド氏が警官に首を押さえつけられて死亡したことを受け、アフリカ系アメリカ人の扱いや、社会における人種差別に対する疑念が拡大。

「白人と同じように黒人の命にも意味がある」という意味が込められた「Black Lives Matter」運動がアメリカ全土、そして世界各地へと広まった。

NBAでボイコットも

ウィスコンシン州ミルウォーキーに本拠を置く、米プロバスケットボールNBAのミルウォーキー・バックスはブレイク氏の事件を受け、26日夜のプレイオフ試合をボイコットした。同チームはオーランド・マジックと対戦予定だった。

今回の事件をめぐるスポーツ試合のボイコットは初めて。

ミルウォーキー・バックスのマイク・ブーデンホルザー・ヘッドコーチは、「私自身、選手たち、そして我々の組織はケノーシャで起きたことに非常に動揺している」と述べた。

「感謝の気持ちを持ち、変化を求め、ウィスコンシン州ケノーシャとミルウォーキーでこれまでとは違うより良いものを得たいと強く願い、それから試合をする。これはそういう大きな挑戦だ」

その後、NBAは26日に予定していたほかの2試合について延期を発表した。

(英語記事 More reinforcements sent to quell Wisconsin unrest