2020年08月27日 14:44 公開

ニュージーランド南部クライストチャーチのモスク(イスラム教礼拝所)で起きた銃乱射事件で、同市の裁判所は27日、オーストラリア人のブレントン・タラント被告(29)に仮釈放のない終身刑を言い渡した。

ニュージーランドで仮釈放のない終身刑が言い渡されたのは初めて。

タラント被告は今年3月、51人に対する殺人と、別の40人に対する殺人未遂、1件のテロ行為について罪状を認めていた

裁判官は被告の行為は「非人間的」であり、「容赦なく」犯行に及んだと述べた。

キャメロン・マンダー裁判官は27日、「あなたの犯罪は非常に邪悪であり、たとえあなたが死ぬまで拘置されても、刑罰として要求されていることを全うできない」とした。

仮釈放なしの終身刑については、「ここで言い渡さなければ、いつが適当というのか」と述べた。

タラント被告は法廷で弁護人を通じて、仮釈放なしの終身刑を求める検察側の請求に異論はないと述べた。被告は以前にも判決での発言権を拒否した。

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は判決を受け、タラント被告が「悪名高いわけではない」こと、「被告について考えたり、被告に会ったり、あるいは被告から再び話を聞く理由が我々にはない」ということだと述べた。

「今日が、このテロリストの名前を聞いたり、口にしたりする最後の日になることを願う」

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2019年3月15日、タラント被告はクライストチャーチの2つのモスクで銃を乱射した。

被告は自分の犯行の様子をフェイスブックでライブ配信し、世界を震撼させた。

事件後、ニュージーランドはより厳しい銃規制を導入した。

判決で何が

タラント被告に対する判決公判は4日間におよんだ。最終日となった27日には、マンダー裁判官が1時間近くかけて死傷者について言及した。

マンダー氏は、被告は罪を認めたにも関わらず、犯行を「後悔あるいは恥じているようには見えない」と付け加えた。

被告は過去3日間、ほぼ無表情だった。

息子が犠牲になったメイスン・サラマ氏は、タラント被告は「ニュージーランド全体を恐怖に陥れ、世界を悲しませた」と述べた。

アルヌール・モスクでの乱射で死亡したアブデルファタフ・カセム氏の娘サラ・カセム氏は、父親は「輝きに満ちあふれた人」だったと述べた。

サラ氏は父親の最後の瞬間について、「父が痛みに苦しんでいたのか、おびえていたのか、最後に何を考えていたのか、思いめぐらせている。そして何よりも、自分があの場にいて父の手を握って、全部なんとかなるから大丈夫だって伝えられていたらよかったのにと思う」と述べた。

こらえていた涙がこぼれると、サラ氏はタラント被告に目をむけ、「この涙はあなたのためじゃない」と述べた。

事件の概要

タラント被告は2019年3月15日、クライストチャーチのアルヌール・モスクに車で乗りつけ、建物内で銃を乱射した。

30秒もたたずに車に戻ると、別の武器を手にモスク内に戻り、再び銃撃を始めた。

被告の頭上カメラの映像には、部屋から部屋へと移動し、殺害する様子が記録されていた。この映像はフェイスブック・ライブで公開された。

タラント被告はその後、リンウッド・モスクに車で移動し、建物の外で2人を銃撃。さらに窓ガラス向けて発砲した。

モスク内にいた男性が出て、被告のショットガン1丁を奪い、被告を追い払った。警察官2人が追跡し、逮捕した。

逮捕後、タラント被告は警察に対し、乱射後にモスクを焼き払う計画だったと明かし、実際にできたらよかったのにと話したという。

今週の公判では、タラント被告が別のモスクも標的にしていたものの、そこへむかう途中で警官に拘束されていたことが明らかになった。

銃規制を厳格化

アーダーン首相は事件直後、政府として銃規制を強化すると宣言。事件発生から1カ月もたたない昨年4月、議会は賛成119票、反対1票で銃規正法を変更し、軍仕様の半自動小銃は禁止された。

昨年6月には、新たに違法となった銃の買い取りを政府が始めた。

アーダーン氏は、人々が過激化するのを防ぐためには「もっと多く」がなされる必要があると表明。

事件から1年を迎えるにあたって、「私たちの日々の行いやあらゆる機会において、いじめやハラスメント、人種差別、差別を見つけたら、それをきちんと国として非難することが求められている」と話した。

(英語記事 Christchurch gunman gets life term without parole