2020年08月28日 10:37 公開

中国当局が広東省沖で23日朝、香港から台湾へ船で渡ろうとした香港の活動家ら少なくとも10人を逮捕していたことが明らかになった。複数の香港メディアが27日に報じた。

中国の沿岸警備当局は、23日朝に香港に程近い中国南部・広東省の沖合いで、台湾へ密航しようとした複数人を逮捕したと発表した。

複数の香港メディアによると、逮捕された人たちは政治亡命を求めて台湾へ渡ろうとしていた。この中には香港の活動家アンディ・リ氏も含まれるという。

リ氏は今月上旬、外国勢力との結託やマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いで逮捕されていた。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは警察筋の話として、リ氏が「不法に国境を越えた」疑いで拘束されたと報じた。

勾留された人たちが、どのような罪で訴追される可能性があるかは不明。香港から船で脱出しようとするのは、稀なケースとされる。

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香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」(国安法)が6月30日に施行されて以来、批判の多い同法に基づき、ここ数週間で香港の活動家が相次いで逮捕されている。

香港で大勢が反対する国安法は、破壊行為や中国からの分離独立、テロ行為、外国勢力との結託などを禁止するもので、違反者には最高で無期懲役が科される。

こうした逮捕者の増加を受け、中国が国安法を使って香港の民主化活動家やメディア界の大物などを幅広く取り締まるのではないかとの懸念が上がっている。

香港は1997年にイギリスから中国に返還されたが、その際に香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」と「一国二制度」という独自のシステムが取り入れられた。

これにより香港では、中国のその他の地域では認められていない集会の自由や表現の自由、独立した司法、一部の民主的権利などが保護された。

国安法によって、中国がこうした香港の自由を損ない、中国政府と国際社会の政治的緊張を招いているとの批判の声が上がっている。

逮捕について分かっていること

広東省の沿岸警備当局は26日、逮捕者について、不法に国境を越えようとした疑いで拘束したと、ソーシャルメディアに投稿した。調査中としつつ、詳細は明かさなかった。拘束された人のうち、2人の名字は「リ」と「タン」だという。

サウスチャイナ・モーニング・ポストは香港と中国の警察筋が、この「リ」という人物がアンディ・リ氏だと認めたと伝えた。

同紙によると、乗船者のうち少なくとも1人は以前、昨年の反政府デモに関連した容疑で逮捕されたことがあるという。

香港警察トップのクリス・タン氏は27日、今回の事案について承知しているとした一方で、「今のところは中国大陸側の関係当局からの情報はない」と付け加えた。

台湾の役割とは

台湾は中国の南東沖に位置する島で、自治権を有する。中国政府による政治的取り締まりを恐れる香港市民を支援しようとしてきた。

今年7月には、香港からの移住を可能とする事務所を開設。最初の1カ月間だけで1000件以上の問い合わせがあったという。

台湾は1950年から実質的に独立状態にある。しかし中国側は台湾を反乱を起こした省とみなし、必要に応じて強制的にでも大陸側と統一すると位置づけている。

その結果、台湾の蔡英文総統は、中国が台湾に主権を押し付けていると非難。中国と台湾の政治的対立が再燃している。

蔡氏は27日、中国の周辺海域で偶発的な衝突が起きる危険性が高まっていると警告。台湾付近での中国の軍事活動について不満を示し、「判断ミス」を防ぐためにより良いコミュニケーションが必要だと述べた。

南シナ海で何が起きているのか

中国が領有権を主張する西沙(パラセル)諸島や南沙(スプラトリー)諸島がある南シナ海では、アメリカと中国はそれぞれ軍事演習を行ってきた。

サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国は26日に南シナ海に向けて弾道ミサイルを数発発射した。これはアメリカけん制が狙いだと、アナリストたちは見ている。

アメリカは同日に、南シナ海での建設事業に関わっている中国企業数十社に対する制裁措置を発表していた。

マーク・エスパー米国防長官は訪問先のハワイで、中国とアメリカは「大陸間競争」の最中にあると述べた。

一方で中国国防部は、中国は「アメリカの言いなり」にはならないとした。

(英語記事 China intercepts boat 'fleeing from Hong Kong'