
2020年08月28日 13:14 公開
米ウィスコンシン州で黒人男性が警官に銃撃された事件への抗議として、スポーツ選手らが試合をボイコットする動きは27日も続いた。一方、26日に試合を棄権すると発表していたテニスの大坂なおみ選手は、大会自体の延期を受け、予定通り出場すると発表した。
米ニューヨークで開催されている「ウエスタン・アンド・サザン・オープン」に出場している大坂選手は26日、27日に行われる予定だった準決勝を棄権すると表明した。
大坂選手はツイッターに、「黒人女性としては、テニスをしているのを見るよりも、すぐに気をつけなければならない重要な事柄があるように感じます」と書いていた。
その後、米テニス協会(USTA)、男子プロテニス協会(ATP)、女子テニス協会(WTA)は、27日の試合は行わず、28日に同大会を再開すると発表。「テニス界は一体となって、人種不平等と社会的不公正に反対する」と述べた。
こうした動きを受け、大坂選手は28日に第14シードのエリーゼ・メルテンス選手(ベルギー)と対戦することになった。
大坂選手は声明で、協会の協力に感謝するとともに、「試合で相手に勝利を譲る準備ができていたし、今もできている。しかし(棄権の)発表をして、WTAとUSTAと長時間協議した結果、両団体の要請を受け入れて28日にプレーすることに同意した」と述べた。
「両団体が全試合を28日まで延期すると表明したことで、この運動はさらに注目を集めることになると考えた」
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NBAは再び延期
プロバスケットボールNBAは、26日のプレーオフの試合を選手たちがボイコットしたことを受け、27日の試合も延期を決めた。
NBAのマイク・バス副会長は、「28日か29日に試合を再開できることを願っている」と述べた。27日に各チーム代表らとビデオ会議を開き、「次のステップを協議する」という。
ミルウォーキー・バックスの選手たちは、オーランド・マジックとの試合をキャンセル後、声明を発表。「変化を求める声がこれだけ大きくなっているのに、何もなされていない。そのため現在、私たちの関心をバスケットボールに向けることはできない」などと述べた。
7つの穴が開いたTシャツ
プロ野球MLBも、2夜連続で3試合が延期となった。
プロアイスホッケーNHLは、27、28日に予定していた計4試合のキャンセルを発表した。
女子プロバスケットボールWNBAも26日に続き、27日の全3試合を延期した。選手たちは26日夜、コート上で腕を組み、一部は警官に背後から7発銃撃されたジェイコブ・ブレイク氏の名前が書かれ、7つの穴が開けられたTシャツを着た。
アトランタ・ドリームのエリザベス・ウィリアムズ選手はWNBAを代表して声明を発表。「NBAの兄弟たちと連帯して抗議する」、「Black Lives Matterを本当に信じるなら、投票に行こう」などと述べた。
「政治団体のよう」
スポーツ界での動きを受け、ドナルド・トランプ大統領は27日、NBAは「政治団体のように」なっていると述べた。
また、「問題に抗議するのはいいことだと思うが、具体的で建設的な解決方法に向けて動き出してもらいたい」、「このホワイトハウスにいるトランプ大統領は今また、彼らと協力しようと思っている」と、米政治ニュースサイトのポリティコに述べた。
一方、大統領上級顧問でトランプ氏の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏は、ロサンゼルス・レイカーズのスター選手レブロン・ジェイムズ氏をホワイトハウスに招き、人種差別の解決に向けた話し合いをする意向だと話した。
(英語記事 More US sports events postponed )