2020年08月29日 11:44 公開

米ウィスコンシン州ケノーシャで黒人男性が警官に背後から銃撃され、下半身に麻痺を負った事件で、男性が手錠で入院先の病院のベッドにつながれていたことが、男性の家族の訴えで明らかになった。報道によると、男性の手錠はその後外されたという。

ジェイコブ・ブレイク氏(29)は23日、ケノーシャの路上で自分の車に乗り込もうとした際に、警官に至近距離の背後から7回撃たれた。車内には幼い子供3人が乗っていた。下半身がまひする重傷を負い、再び歩けるようになるかは不明だ。

ケノーシャの警察は入院中のブレイク氏が手錠でベッドに拘束された理由について、銃撃以前に同氏に対して複数の逮捕状が出ていたからだと説明した。

ブレイク氏の弁護人パトリック・キャファティ氏は米メディアに対し、複数の逮捕状はすでに取り消され、ブレイク氏を監視していた警官たちは病室から出て行ったと明かした。

BBCはキャファティ弁護士にコメントを求めたが、回答は得られていない。

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ブレイク氏の家族の主張

地元紙シカゴ・サン・タイムズによると、ブレイク氏の父親は入院中の息子を見舞った後、「息子が手錠でベッドにつながれて横たわっているのは耐えられない」と記者団に述べた。

「息子は(まひがあって)どこにも行けないのに。なぜベッドに手錠でつながなければいけないんだ」

これに先立ち、ケノーシャ警察のダニエル・ミスキニス本部長は記者団から、ブレイク氏が病院内で拘束されているのか尋ねられた。ミスキニス本部長は同氏が「外部の法執行機関」の監視下にあると述べるに留まった。

ケノーシャ郡保安官局のエリック・クリンクハマー氏はBBCに対し、「ブレイク氏には銃撃事件以前に犯した重罪について、逮捕令状が出ているので拘束している。我々の拘置所以外で身柄を確保されている者は、誰でも(手錠などで)拘束し行動を制限するのが決まりだ」と述べた。

ウィスコンシン州のトニー・エヴァース知事は記者団から、ブレイク氏が手錠で病院のベッドにつながれていたことについて、気がかりかと問われると、「もちろんだ」と答えた。

「なぜそんなことが必要なのか、個人的には理解できない」とし、「(ブレイク氏は)7回か8回も撃たれた。すでに恐ろしい代償を払っているのは間違いない」とした。

ケノーシャのジョン・アンタラミアン市長は28日、ケノーシャ郡のデイヴィッド・ベス保安官とケノーシャ警察のダニエル・ミスキニス本部長の辞任は求めないと述べた。

「経緯をみれば、誰もがこの状況の中で最善を尽くしていると言える」とした。

市長は同日、市全域での夜間外出禁止令は来週まで続くと述べた。

同市には州兵1000人以上が配備されており、当局はさらに増員する方針という。

抗議デモで発砲、3人死傷で17歳が訴追

こうした中、この銃撃事件に対する抗議デモの最中に参加者に発砲し、3人を死傷させたとして訴追された17歳少年の法廷審問が9月25日に延期されたと、AP通信が報じた。カイル・リッテンハウス被告(17)は28日、イリノイ州レイク郡の裁判所に出廷し、ウィスコンシン州への身柄引き渡し要請の審問に応じる予定だった。

リッテンハウス被告は、第1級故殺罪、第1級過失致死罪、18歳未満による危険な武器の所持など6つの罪に問われている。

被告は、抗議デモからケノーシャの建物を守るのが「自分の仕事」だと、報道陣に話していた。

被告は事件の翌日に、現場から州をまたいだイリノイ州の母親の家で逮捕された。

群衆の中で3人を死傷させたとされる被告が、なぜ拘束されず現場を離れられたのか、記者団がケノーシャ警察のミスキニス本部長に質問したところ、本部長は「この人物が犯罪行為に関与したと、うかがわせることは何もなかった」と説明。大勢がいて混乱した現場から被告が離れるのを警察が容認したのは、判断ミスではないと思うと述べた。

ロイター通信によると、ドナルド・トランプ米大統領の顧問弁護士ルディ・ジュリアーニ氏や、トランプ陣営の外交顧問だったカーター・ペイジ氏らを顧客に抱える、ロサンゼルスの著名なピアス・ベインブリッジ法律事務所が、リッテンハウス被告を弁護している。

(英語記事 Paralysed Jacob Blake 'released from handcuffs'