2020年09月01日 12:12 公開

インドのプラナブ・ムカジー前大統領が31日、ニューデリーの病院で亡くなった。84歳だった。新型コロナウイルス検査で陽性と判明して21日後に死去した。息子のアブヒジト氏がツイッターで発表した。

ムカジー氏は8月初旬に脳にできた血栓を取り除く手術のために入院。その際に検査を受け、新型ウイルス感染が発覚したという。

ムガジー氏は51年間の政治家としてのキャリアの中で、財務相、外務相、国防相などを歴任。2012~2017年に大統領を務めた。

ナレンドラ・モディ首相はツイッターでムカジー氏の功績を称えるとともに、「インドの発展の道筋に消せない足跡を残した」と追悼した。

「優秀な学者であり、偉大な政治家だった。政界だけでなく社会のあらゆる分野で尊敬されていた」

「賢人の精神」もつ「巨人」

現職のラム・ナト・コヴィンド大統領はムカジー氏を、インドに「賢人の精神」を持って仕えた「巨人」だと称えた。

インドの大統領は儀礼職だが、総選挙でどの党にも政権成立に必要な議席が集まらなかった場合などに重要な役目を負う。こうした場合、大統領はどの政党に連立政権を作らせるかを指名する権利がある。

ムカジー氏自身は、任期中にこうした決断を迫られることはなかった。しかし死刑囚の恩赦を拒否するなど、はっきりと意思を示す場面もあった。

このほか、国際通貨基金(IMF)や世界銀行の要職を務めた。

「政治経験の豊富な大統領」

ムカジー氏は1960年代に政党「国民会議」に入党。当時首相だったインディラ・ガンディー氏の薫陶を受けたと語っていた。

1986年には一度、国民会議を離れて独自の党を作ったが、2年後には複党した。

国民会議は数十年にわたってインドで政権を握っていたものの、2014年と2019年の総選挙ではモディ首相率いるインド人民党に敗れている。

議員としての37年間、ムカジー氏は連立政権のつなぎ役として活躍。しかし、首相になるという野心はついにかなえられなかった。

2012年に大統領に任命された際には、インドで最も政治経験の豊富な大統領だと言われた。

儀礼職である大統領は通常、議会を通った法案を拒否しないが、ムカジー氏は在任中に18件の法案を拒否。死刑囚の恩赦拒否も30件と、歴代大統領で最も多かった。

BBCのスーティク・ビスワス・インド特派員は、ムカジー氏は荒波のインド政界の中でも飛び抜けた逸材だったと説明。穏やかな超党派の指導者であり、博学で記憶力にもすぐれ、厳しく合意を形成していく政治家だったと評した。

(英語記事Former president of India dies after Covid diagnosis