梅原淳(鉄道ジャーナリスト)

 日本列島は2020年7月3~8日に記録的な大雨に見舞われ、各地で大きな被害が生じた。

 鉄道も例外ではない。国土交通省によるとJR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、大井川鉄道、愛知環状鉄道、長良川鉄道、叡山(えいざん)電鉄、平成筑豊鉄道、肥薩おれんじ鉄道、くま川鉄道の12社合わせて20路線が豪雨によって被害を受け、不通となってしまった。

 その後、復旧作業が進められたものの、9月1日現在でJR東海の飯田線、JR九州の久大(きゅうだい)線と肥薩線、叡山電鉄の鞍馬線、くま川鉄道の湯前(ゆのまえ)線、肥薩おれんじ鉄道の肥薩おれんじ鉄道線の5社6路線の一部区間で引き続き列車の運転を行うことができない状況となっている。

 現在も不通となっている6路線とも被害は深刻だ。損傷を受けた線路や施設を筆者が見た限りでは、復旧まで早くて2020年の秋ごろから冬にかけて、多くは来年、場合によってはそれ以上と予想される。

 特に運転再開まで時間を要するとみられるのはJR九州の久大線と肥薩線、くま川鉄道の湯前線だ。これら3線に共通しているのは橋梁が流失したという点である。

 川に落ちた橋桁を修復して再使用できれば復旧時期は早まるものの、そうでなければメーカーに注文しなくてはならない。渡る川の状況に応じて橋梁は設計されるので、多くのケースで橋桁もオーダーメード品となる。そして、橋桁は完成までに1年ほど要するので、施工期間を含めると復旧は少なくとも1年以上先となるのだ。

 近年、災害によって鉄道が被害を受け、長期間不通となる事例が相次いでいる。2019年10月の台風19号ではJR東日本の水郡(すいぐん)線や阿武隈急行の阿武隈急行線、上田電鉄の別所線ではいまだに列車の運転が再開されていない。

 それ以前の災害によっていまだに不通となっている路線も存在する。2016年に不通となったJR北海道の根室線、日高線(2015年)、JR東日本の只見線(2011年)、JR九州の日田彦山線(2017年)、南阿蘇鉄道の高森線(2016年)だ。
豪雨で流失したJR久大線の橋=2020年7月、大分県九重町(JR九州提供)
豪雨で流失したJR久大線の橋=2020年7月、大分県九重町(JR九州提供)
 このように、いまや全国のどこかで自然災害によって鉄道が不通となっているのは当たり前となった。

 理由は大きく分けて3点挙げられる。気象の変化によるもの、鉄道自体の有り様の変化によるもの、線路や施設の老朽化の進行によるものだ。