2020年09月02日 14:36 公開

イギリスで1日、外務・英連邦省(FCO)と国際開発省(DFID)を統合した外務・英連邦・開発省が新設され、「世界の貧困層」を新型コロナウイルスや飢餓から守ることを掲げ、業務を開始した。

英政府は6月、2つの省を統合すると発表した。この決定をめぐっては、イギリスの影響力を弱め、専門性が損なわれるのではないかとの声が上がっていた。

政府は今回の統合で、イギリスが「世の中のためになる力」になるとしている。

「致命的な脅威に取り組む」

外務・英連邦・開発省の設置を発表する声明の中で、政府は「国民所得の0.7%を支援に費やす」と明かした。与党・保守党の一部議員からは先週末、目標を廃止するよう求める圧力が高まっていた。

新省の設置初日となったこの日、同省を率いるドミニク・ラーブ外相は新型ウイルスと飢餓の問題に取り組むために、1億1900万ポンド(約168億8000万円)を拠出すると発表した。

この資金は、イエメン、コンゴ(旧ザイール)、ソマリア、中央アフリカ共和国、南スーダン、スーダン、西アフリカのサヘル地域の問題に割り当てられるという。これらの国と地域で暮らす人々は、すでに極度の飢餓や紛争あるいは気候変動で苦しんでいたが、新型ウイルスのアウトブレイク(大流行)の影響で状況が悪化している。

ラーブ外相は、「新型コロナウイルスと飢餓は、世界で最も貧しい国の一部で暮らす何百万人もの人々を脅かし、テロや移民の流入を含む、イギリスに影響を及ぼす直接的な問題を生んでいる」と述べた。

「国際的なイギリスは、世界のためになる役割を担う存在として、手本となってリードし、これらの致命的な脅威に取り組むために国際社会をひとつにしていく。それが正しいことであり、イギリスの利益を保護することになるからだ」

長年の検討の末に

ラーブ氏はまた、ニック・ダイアーDFID長官をイギリス初の飢餓防止・人道問題担当特使に任命すると明かした。

外交力と対外援助の専門性を組み合わせることで、イギリスは世界的な課題に取り組むだけでなく、自国の利益も守れるとしている。

FCOとDFIDには統合や分割が繰り返されてきた歴史があり、長年、保守派の中で両省の統合が検討されてきた。

ボリス・ジョンソン英首相は6月に2省の統合を発表した際、イギリスの目標をよりよく反映した援助支出を確保すると議員らに伝え、これは「長年の懸案となっている改革」だったと述べた。

ジョンソン氏はイギリスの援助支出について、「イギリスの利益を全く考慮しない、宙ぶらりんの巨大な現金自動支払機として扱われていた」とした。

元首相らは批判

3人の元英首相、デイヴィッド・キャメロン氏(保守党)、ゴードン・ブラウン氏(労働党)、トニー・ブレア氏(労働党)からは批判が上がった。キャメロン氏は「専門性を損ない」、「最終的に海外におけるイギリスに対する敬意が低下」を意味するなどと指摘した。

英議会下院の国際開発委員会(IDC)は、「衝動的」な動きであり、世界の最貧層が「最大の代償を払うことになる」とした。

労働党のサー・キア・スターマー党首は、省の統合は「気をそらすための戦略」であり、次の総選挙で自分が勝利した場合にはDFIDを復活させると誓った。

(英語記事 Foreign, Commonwealth and Development Office opens