2020年09月07日 11:59 公開

ベラルーシの首都ミンスクで6日、先月の大統領選で6期目当選を宣言した現職のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領(66)の辞任を求める抗議デモが行われ、少なくとも100人が逮捕された。ルカシェンコ氏に対する抗議デモは4週連続。

首都ミンスクではこの日、何万人もの人が厳重な警備を無視して集った。

警察は大統領公邸近くでデモ隊にペッパースプレーを噴射したり、警棒を振り回すなどして応戦した。

先月9日に投開票された大統領選では、1994年から実権を握ってきたルカシェンコ大統領が6期目当選を決めた。しかし中立な選挙監視団の立会いがなかったことから不正選挙の懸念が浮上し、ルカシェンコ氏の辞任を求める声が上がっている。

選挙以降の大規模な騒乱では、ベラルーシ政府が反発を一掃しようとし、少なくとも4人が死亡、数百人が負傷している。

抗議者や人権活動家、観測筋は、旧ソ連国のベラルーシで機動隊が残忍なやり方で平和的な行進を弾圧していると指摘する。

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ミンスクの状況は

人権団体ヴィアスナが6日に130人が逮捕されたと報じた後、べラルーシ内務省はロシアのインタファクス通信に対し、少なくとも100人が拘束されたと認めた。

複数の目撃者が同通信社に証言したところによると、無許可の抗議デモが終わって市民が帰宅し始めた後に警察が逮捕に踏み切ったという。6日の様子を捉えた動画では、私服姿の男たちが平和的な抗議者たちを棒で殴る様子が確認できる。

ユーリ・カライエフ内相は、治安部隊の行動を擁護した。

国営ベルタ通信によると、カライエフ内相は「彼ら(目撃者)はベラルーシ警察の残虐性について話しているが、私はこう言いたい。世界のどこにも、ここ以上に人道的で節度のある、冷静な警察はいないと」と述べたという。

抗議デモが始まって以来、日曜日は街頭デモにとって重要な日となっている。

最近では、黒ずくめの服装にバラクラヴァ(目出し帽)をかぶった治安部隊が、夏休みから戻った大学生を標的にし、路上や大学の建物から所属不明のミニバンに引きずり込んだ。

これに先立ち、リュドミラと名乗る女性抗議者はBBCに対し、デモ隊は治安部隊にひるんだりしないと話した。

「何年も続いたあの暮らしに戻るつもりは、まったくありません」

「私たちはあまりに長いこと、無気力に生きてきましたが、今やっと自分たちが意味ある存在なんだと感じています。連帯していると思えるし、私たちは実際に、少なくとも私は、変化がすでに起きていると感じています。なので、今は絶対にあきらめてはならないんです」

ミンスクのほか、フロドナやモギリョフ、ホメリなど、国内のほかの市や町でも抗議デモが報告されている。

ルカシェンコ氏の主張

ルカシェンコ氏は欧米諸国がベラルーシに干渉していると非難している。特に、隣国ポーランドとリトアニアが、政権交代の強要を目論んでいると攻撃している。

ベラルーシはロシアやウクライナのほか、ポーランドやリトアニアなどの欧州諸国と国境を接している。同国はエネルギー供給においてロシアに大きく依存しており、歴史的にも密接な関係にある。

ルカシェンコ氏は3日、ロシアにいっそう歩み寄る用意があることを示唆し、「適切な結論に至る」ためのきっかけを、毎週の抗議デモが作ったと述べた。

同氏は少なくとも2回、ミンスクの自宅近くで銃を手にし、重装備の警備員に囲まれている姿が撮影されている。

野党派が国外へ避難

抗議デモが続く中、多数の野党派が国外に逃れている。5日には、活動家のオルガ・コヴァルコワ氏が隣国ポーランドへ避難。出国に同意しなければ、長期の懲役刑を言い渡されたはずだと話した。

コヴァルコワ氏によると、治安部隊に国境検問所まで移送された。ポーランド行きのバスの運転手が自分に気付いてくれたので、乗ることができたという。

ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相の報道官は、ベラルーシで弾圧された犠牲者をポーランドは支援する方針だとした。

現在はリトアニアに脱出している、ルカシェンコ氏の対立候補のスヴェトラーナ・チハノフスカヤ氏(37)は4日、国連に対し、ベラルーシ当局による抗議者弾圧を止めさせるため、支援を呼びかけた。

政治経験のないチハノフスカヤ氏は、今年5月に政権に批判的だったブロガーの夫セルゲイ・チハノフスキ氏が出馬を禁じられ、収監された後に出馬を決めた。

チハノフスカヤ氏は、野党は警察暴力の終結や政治犯全員の即時釈放、自由で公正な選挙の実施を要求している。

EUの反応は

欧州連合(EU)加盟国首脳は先月、不正選挙や残虐行為、抗議者の投獄といった疑惑に関与した当局者(名前は明かされていない)に対し、資産凍結を含む制裁を科すことで合意した。具体的な制裁措置はまだ検討中だ。

ベラルーシの国連特別報告者のアナイス・マリン氏は、ルカシェンコ氏の再選は「完全に操作されたもの」であり、「国民の票が盗まれた」と述べた。

また、ベラルーシ警察の拷問を非難し、その一例に「あまりにひどく殴られ、こん睡状態になった」16歳の少年を挙げた。

「当局は恣意的に逮捕された全員を解放しなければならない」とマリン氏は述べた。「ベラルーシ政府は自国民に対して、狂った戦争をおこしている」。

(英語記事 Dozens arrested as Belarus cracks down on protests