2020年09月10日 11:53 公開

自分が病気で死んでいく様子をライブ配信しようとしていたフランスの男性が、緩和ケアを受け入れた。

動脈壁の変性疾患を患っているアラン・コック氏(57)は、安楽死が認められなかったため、4日から投薬や飲食を断ち、死ぬまでの経過をフェイスブックでライブ配信しようとした

フェイスブックはこの配信を阻止したものの、コック氏はその後も断食を続けていた。

しかし、AFP通信の取材でコック氏は「これ以上闘えない」と話し、緩和ケアを受け入れるとともに、飢える試みを諦めたことを明らかにしたという。

コック氏の「死ぬ権利」をめぐる活動はフランスで大きな注目を集め、議論を呼んでいる。

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フランスでは法律上、安楽死は認められていない。しかし、病気の末期症状で死が差し迫るなど限られた状況では、医師が患者を深い沈静状態に置くことが認められている。

コック氏は、末期症状の人たちが死を選べるよう法律を改正してほしいと呼びかけている。一方、キリスト教カトリック教会などは倫理的な観点から安楽死に反対している。

コック氏は、動脈壁の変性疾患で30年以上「末期症状」にあるという。7月にはエマニュエル・マクロン仏大統領に手紙を書き、病気によって「非常に残酷な苦しみ」を味わっていると説明。「尊厳を持って」死なせてくれるよう、安楽死の許可を求めた。

これに対しマクロン大統領は、手紙には「心を動かされた」が、自分は「法の上に立っているわけではない」として、コック氏の要求を認めなかった。

「苦しみすぎた」

コック氏は4日、フェイスブックの自身のアカウントに「最後の食事を終えた」と書き込み、「救済への道が始まった。私は幸せだ」と述べた。

「これからは大変な毎日になるだろうが、もう決断したことだし、落ち着いている」

しかしフェイスブックは、自殺をほのめかすコンテンツを認めていないとして、コック氏のライブ配信をブロックした。

フェイスブックの広報担当者はAFP通信の取材に対し、「この複雑な問題に光を当てようとするコック氏の決断は尊重するが、専門家の助言を受け、コック氏のアカウントのライブ配信機能を停止した。自殺の意図のある行動をコンテンツとして見せることはできない」と説明した。

コック氏の広報担当者によると、同氏は7日に「苦しみすぎた」ために病院に搬送された。

広報担当者は地元メディアに「コック氏は苦しまずに(断食を)続けたいと願っているが、非常に困難なことだった」と説明している。

AFP通信によると、コック氏は10日以内に自宅に戻れる予定。その際には医療チームも派遣されるという。

(英語記事 Terminally ill man backs down on vow to starve