2020年09月12日 17:49 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領は11日、イスラエルと中東バーレーンが国交正常化に合意したと発表した。

トランプ大統領はツイッターに、「過去30日間でイスラエルと和平合意した2番目のアラブ国だ」と書いた。

中東諸国は何十年もの間、パレスチナ問題が解決するまではイスラエルと国交を樹立しない姿勢を貫いてきた。

しかし今年8月半ばには、アラブ首長国連邦(UAE)がイスラエルとの国交正常化に合意。これに伴い、バーレーンも和平合意に動くとの観測があった。

イスラエルは1948年の建国後、アラブ諸国では隣国のエジプトとヨルダンとの間でのみ、平和条約を結んでいる。バーレーンはUAEに続き、イスラエルと外交関係を持つ4番目の国となる。

トランプ大統領は今年1月、中東和平計画としてイスラエルとパレスチナの紛争解決を打ち出しており、仲介役を務めていた。

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は新たに中東の国と和平合意に至ったことに、「興奮している」と述べた。

「これは新しい平和の時代だ。平和のための平和であり、経済のための経済だ。我々は何年も平和のために投資してきたが、今度は平和が我々に寄与する番だ」

トランプ大統領はツイッターで、「また一つ、歴史的な突破口が開けた!」、「我々の素晴らしい友好国、イスラエルとバーレーン王国が和平合意を結んだ」と報告した。

また、自身とネタニヤフ首相、バーレーンのハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ国王が署名した共同声明の画像も掲載した。

声明には、この合意は「中東のいっそうの平和に向けた歴史的な突破口」であり、「中東地域の安定と安全、そして繫栄を促進するもの」だと記されている。

UAEは歓迎、パレスチナは反発

UAEはこの発表を歓迎している。同国外務省は、「中東の安定と繁栄に大きく寄与する、素晴らしい歴史的な功績だ」と称賛した。

一方、パレスチナ自治政府はこの合意に反発している。パレスチナ外務省は駐バーレーン大使を呼び戻した。政府は「パレスチナの民が持つ不可侵の権利と、それに共鳴するアラブ諸国の活動を著しく損なうもの」だと声明を発表した。

パレスチナは長年、イスラエルに入植地から撤退させ、パレスチナ国家を承認させようとする取り組みの中で、アラブ諸国が連帯して自分たちを支援してくれるという前提に頼っていた経緯がある。

ガザ地区の軍事組織ハマスは、今回のバーレーンの動きは「パレスチナの目的に大きな打撃を与える」と非難した。

問題の背景

イスラエルをめぐる和平の動きの裏には、サウジアラビアとイランの外交問題が関わっている。

両国の数十年にわたるいさかいは、イスラム教の教派の違いによるところが大きい。イランはシーア派なのに対し、サウジはスンニ派国の盟主を自認している。

共にスンニ派のUAEとバーレーンは、イスラエルと同じようにイランの動きを警戒している。これが非公式の接触につながった。

バーレーンは先週、イスラエルとUAE間に新たに就航した航空便について、領空内の航行を認めると発表したばかりだった。

現在は、サウジの今後の動向に注目が集まっている。今のところ、同国がUAEやバーレーンに続く兆候は出ていない。

トランプ大統領は16日に、ホワイトハウスでイスラエル・UAE間の和平合意の署名式を執り行う予定。


<分析>バーバラ・プレット=アッシャーBBC米国務省担当特派員

イスラエルとバーレーンの和平合意は、トランプ大統領と、仲介役を務めていた娘婿のジャレッド・クシュナー上級顧問の功績だ。

直近の中東訪問からアメリカへ帰国する際、クシュナー氏は記者団に対し、中東地域にある「かなり圧倒的に」「前向きなエネルギーを解き放った」のだと述べた。

ホワイトハウスが発表した概要からは、トランプ氏が11月の大統領選に向け、国際的な合意形成者という印象を作ろうとしている様子がうかがえる。今後もイスラエルとの関係正常化に動くアラブ諸国やムスリム国が増える可能性は高く、中東に平和と繁栄の兆しが見えているという印象だ。

これにより、トランプ氏は「世紀の合意」に失敗した事実から世間の目をそらすことができるだろう。イスラエルとパレスチナの和平合意だ。この合意の草案はイスラエル側に非常に有利な内容だと大きな批判を浴び、パレスチナは受け入れなかった。

トランプ政権はイスラエルとパレスチナ以外の国に働きかける方法をとった。これを通じてパレスチナに、中東諸国の対イスラエル政策を決定するのはもはやパレスチナではないのだと、トランプ政権は突きつけている。


(英語記事 Bahrain 'makes peace' with Israel, says Trump