田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 菅義偉(よしひで)官房長官が自民党総裁選で圧勝し、次期総理大臣になることが事実上確定した。菅政権の発足である。

 菅政権にはまず直面する課題が二つある。一つは、新型コロナ危機にある日本経済と社会の立て直しである。もう一つは、早期の衆議院解散と総選挙での勝利だ。

 前者は日本国民に直接関係する重大事である。後者は、無派閥の菅氏の政治的な基盤を強めるためにも必要になってくるだろう。そして総選挙で勝利するかどうかが、菅政権が長期的に持続するか、あるいは短命に終わるかの大きな分岐点になる。その意味では国民全員に間接的にも重要な意味を持つことになる。

 菅政権が選挙で勝てるかどうか、それは内閣の顔ぶれとその政策に大きく依存する。もちろん個々の選挙区事情やまた野党の統一された動きができるのかどうか、そして菅政権をどうマスコミが報道するか、その印象操作によっても大きく変化しそうだ。

 マスコミの印象操作といえば、総裁選の間もかなり深刻な問題が起きていた。前回のこの連載でも指摘したが、「菅vs石破」を、消費税をめぐって「増税vs減税」として対立させ、菅氏のイメージをダウンさせる戦略をマスコミはとるだろう、と指摘した。そしてそのような印象報道に左右される人たち(ワイドショー民)の存在が問題だとも書いた。実際に、この現象は顕著に生じた。

 例えば、菅氏が「人口減少が不可避なので、行政改革を徹底して行った上で、消費税は引き上げざるを得ない」と発言した。これは具体的な日時を決めたものではなく、ごく一般論的なものだ。
安倍首相(左)に花束を手渡す菅新総裁=2020年9月14日、東京都内のホテル
安倍首相(左)に花束を手渡す菅新総裁=2020年9月14日、東京都内のホテル
 ただしマスコミは前記した対立軸(消費増税vs減税)を狙っているので、まさに格好の素材を与えてしまったことになる。ツイッターなど会員制交流サイト(SNS)上では「菅氏は消費増税論者だ」と大騒ぎになった。