ただ、今後の野党再編があり得るなら、これらは過渡期の選挙であったのかもしれない。現在の無所属当選者26人は、現行選挙制度導入後最多であり、これらの議員を含む今後の野党の離合集散が注目される。

 だが、最近の野党の再編には良い印象を与える点がほとんどない。野党の一本化を志向した立憲民主党と国民民主党の動きには、総裁選に隠れて霞んでしまったとはいえ、それなりの意義はあった。ただ、その推移を見ると、むしろ注目されずに終わって幸いであったとすら言えるかもしれない。

 例えば小学生に、今回の野党再編を解説するとなると「立憲民主党と国民民主党がそれぞれ解散して、その結果、立憲民主党と国民民主党ができました。党代表は立憲民主党が枝野幸男氏、国民民主党は玉木雄一郎氏で、前と同じです」という感じになる。いったい、小学生からはどんな反応が返ってくるだろうか。

 ともかくも、現状は55年体制型の一党優位制への回帰に向かっていると言うしかない。しかし、仮にそうであったとしても、55年体制の下での自民党派閥政治の復活はないであろう。94年の選挙制度の変更は、同一選挙区から自民党候補者が複数出る可能性を著しく低くした。

 なぜなら、公認の最終権限を握る党執行部の力が増大しているためだ。衆議院が執行部の統制に服すようになったことから、相対的に参議院自民党の力が増している印象も受ける。そして派閥の統制力は、55年体制下でのそれに比べて弛緩(しかん)している。

 無派閥と分類される自民党国会議員は、『国会便覧』(令和2年2月版)によると現在59人にも達し、今回新首相に就任した菅氏もその一人である。これは細田派に次ぐ、自民党のいわば第二勢力となっており、かつては考えられなかったことだ。
産経新聞の単独インタビューに応じる菅義偉官房長官=9月5日午前、東京都千代田区(桐山弘太撮影)
産経新聞の単独インタビューに応じる菅義偉官房長官=9月5日午前、東京都千代田区(桐山弘太撮影)
 それゆえ現在の日本の政党政治は一党優位性の定着か、多少なりとも競合的政党制の芽を残すかの言わば踊り場に立っている。最近一部に伝えられる自民党と日本維新の会の接近も、こうした文脈で捉える必要があろう。

 そうは言っても、「自民党支持ではないものの、野党にはそれ以上に期待できない」という人々が、せめて実質的総理の選出となる自民党総裁選に、何がしか意思を反映させたいというのも分からなくはない。

 しかし、登録党員制度を持つわが国の政党の党内選挙に、党員以外の人々の参加を認めることは困難である。米国の大統領予備選は、確かに広く選挙民に開かれている。だが、それは米国の政党にはそもそも登録党員というものがなく、政党の支持者がそのまま党員と認知されているからなのだ。

 多くの州では、選挙権登録の際に支持政党も登録される。有権者は、民主党か共和党か独立無党派を選ぶ。それが、予備選挙の投票資格になる例が多い。つまり、行政機関が党員登録を代行しているとも解釈できる誠にユニークな制度である。

 ただ、
日本の政党にそれを求めることはできない。首相が誰になるのかについて、有権者の意思のより直接的な反映を求めるのなら、筆者は現行の議院内閣制をよしとするものの、首相公選制を考えるのが筋であろう。