佐々木隆(遊園地・テーマパークライター)
「地元の遊園地」があることは、幸せなことです。私が育った山口県は遊園地が少なかったため、少年時代はあまり遊園地に親しむことはありませんでした。
そもそも遊園地がある場所は全国的にも限られているので、地元にあることは大変恵まれているわけです。そして現在、わが家の近くには、よみうりランド(東京都稲城市)があり、少し歩くと観覧車が見えてきます。そう、幸せなことに、今、私には「地元の遊園地」があるのです。
2020年8月31日、東京都民と練馬区民を中心に多くの人から愛された遊園地、としまえんが閉園しました。1926年に開園して94年もの歴史を誇る、日本の財産といっても過言ではない遊園地でした。その歴史をたどってみましょう。
開園直後はボート池や小動物園があるレジャー施設でしたが、第2次世界大戦を経て、いよいよ本格的な遊園地のスタイルとなっていきます。この頃のとしまえんの顔は「ウォーターシュート」というアトラクション。高さ20メートルから大きな舟型のライド(乗り物)が斜面を滑降し、水面にスプラッシュ! それと同時に舟の先頭にいる船頭さんがジャンプするのが見どころでした。
2005年まで「横浜・八景島シーパラダイス」(横浜市金沢区)に同じスタイルのアトラクションがあったのですが、現在はクローズしています。やはり、ジャンプできる船頭さんが少なくなったのでしょうか。

そんなとしまえんは、昭和40年代(1965年~)から平成初期にかけて大きく成長します。世界初の「流れるプール」、1907年にドイツで作られた回転木馬「カルーセルエルドラド」、そして名作コースター「サイクロン」というとしまえんの主力コンテンツは、昭和40年代に導入されました。