2020年09月25日 11:44 公開

11月3日の米大統領選についてドナルド・トランプ大統領が、選挙の公平性を疑問視する発言を繰り返し、自分が負けた場合に結果を受け入れるか言明を避ける中、与党・共和党有数の実力者、ミッチ・マコネル上院院内総務は24日、選挙結果がどうなろうと来年1月20日には平和な大統領就任式が行われると約束した。

トランプ氏が前日、郵便投票の信ぴょう性をあらためて疑う発言をして、自分が負けた場合について「どうなるか様子見」だと述べたのに対して、マコネル上院院内総務はツイッターで、「11月3日の選挙の勝者が1月20日に就任する。1792年以来、常に4年ごとにそうだったように、秩序ある移譲が行われる」と書いた。

同様に、トランプ氏を強力に支持する共和党重鎮のリンジー・グレアム上院議員も、安全で公平な選挙を約束。保守派フォックス・ニュースに対して、「平和的に行われる。それは保証する」と述べた。その一方で、連邦最高裁に判断を委ねる可能性を示唆し、「もし共和党が負けたら、我々は結果を受け入れる。もし最高裁が(民主党候補の)ジョー・バイデン勝利と判断するなら、私はその結果を受け入れる」と話した。

一方で、共和党の元大統領候補でかねてトランプ氏に批判的なミット・ロムニー上院議員は23日、「合衆国憲法の決まりに大統領が従わないかもしれないと示唆するなど、考えられないし受け入れられない」と述べていた。

トランプ氏は23日、郵便投票は「とんでもない詐欺だ」と主張し、選挙結果が「正直」なものになるか疑わしいと述べた。

今年の米大統領選では、新型コロナウイルス対策のため、多くの有権者が投票所を避けて郵便投票を選ぶと予想されている。

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これについて記者団に、バイデン氏に負けた場合は平和的な権力移譲に応じるのかと尋ねられたトランプ氏は、「僕は郵便投票について強硬に文句を言ってきた」、「投票はひどいことになっている」、「みんな暴動している」などと述べた。

国民が「暴動している」という発言に記者が反論すると、トランプ氏は「郵便投票をやめれば、とても平和的な……というか移譲はないよ、正直言って。政権は継続する」と答えた。

トランプ氏は4年前の選挙でも、自分が負けた場合に結果を受け入れるか言明しなかった。結果的に、全国的な得票数では約300万票、ヒラリー・クリントン氏を下回ったものの、獲得した選挙人の数で上回り当選した。トランプ氏はその後も、得票数では大きく差をつけられたことを否定している。

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11月3日の投票日まで残すところ40日となった現時点で、全国的な世論調査では民主党候補のバイデン氏がトランプ氏を上回っている。

大統領選で敗れた候補が、落選を認めなかったことは、アメリカの歴史でこれまで一度もない。もしも現職のトランプ氏が敗北を受け入れなかった場合、その後の展開は誰も経験のない未曾有(みぞう)の事態となる。

バイデン氏は、もしトランプ氏が敗北を認めないならば、米軍がトランプ氏をホワイトハウスから排除する事態もあり得ると言及している。

民主党の反応は

野党・民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は24日、記者団に対して、トランプ氏の発言は決して意外ではないと話した。

ペロシ議長はトランプ氏について、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や北朝鮮の金正恩委員長、トルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領など、「政権に長く居座る人たちを見上げている」のだと述べた。

「私は(トランプ氏に)強調したい。あなたがいるこの国は北朝鮮ではなく、トルコではなく、ロシアではないのです、大統領。(中略)なので、せめて一瞬でも、自分の就任の誓いを守ろうとしたらどうでしょう」

米下院議長は、大統領権限の継承順位において、副大統領に続く。

バイデン氏は地元デラウェア州で記者団に対して、権力移譲に関するトランプ氏の発言は「合理性に欠ける」と批判した。

バイデン陣営はさらに、「アメリカ政府は、不法侵入者をホワイトハウスから外へ連れ出すことくらい、何の問題もなくできる」とコメントした。

同陣営広報担当は24日、米政治ニュースサイト「ポリティコ」に対して、前副大統領のバイデンウ氏は「当然ながら平和的な権限移譲に参加した経験がある」ため、今回の選挙後もその経験を生かすと話した。

前回選挙でトランプ氏に敗れたヒラリー・クリントン氏は、たとえ選挙当日の開票結果が不利だったとしてもバイデン氏はすぐに負けを認めるべきではないと提言している。

クリントン氏は共和党が「不在者票などでごねて」、大人数の弁護団を投入して争うだろうと予想し、「(結果確定まで)長引くと思うが、私たちが一歩も譲らなければ最終的に(バイデン氏が)勝つと思う」と8月に述べていた。

2000年大統領選のように投開票についての最終判断が連邦最高裁に委ねられる場合、判事たち(定数9人)の保守・リベラルの構成があらためて注目される。リベラル派のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が亡くなったことで、現在の構成は1人欠員の保守派5人、リベラル派3人。トランプ氏は近く後任候補を指名する見通しで、与党・共和党が多数の上院もできるだけ速やかに承認したい構え。

大統領選の行方にも影響し得る最高裁人事を、大統領選目前に強行しようとする共和党に、民主党は猛反発している。

(英語記事 US election: McConnell promises an 'orderly' transition of power